研究は、欧州の男性同性愛者カップル約1000組を対象に8年にわたり実施されたもので、カップルの一方はHIV陽性でARTを受けており、他方はHIV陰性だった。対象期間中にカップル間のHIV感染が一切なかったことから、ARTの普及が進めばやがて新規感染をゼロにできるとの期待が高まっている。
英医学誌ランセット（Lancet）に発表された論文の共同執筆者、ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ（UCL）のアリソン・ロジャー（Alison Rodger）氏は「われわれの研究結果は、抑制的ARTにより男性同性愛者のHIV感染の危険がゼロになるとの決定的証拠だ」と指摘。
「これは、ウイルスが検出不可能な量であればHIVは感染不可能であるというメッセージを裏付ける結果だ。この強力なメッセージは、HIV感染を予防することでHIVの流行を止め、HIV感染者の多くが直面するスティグマや差別の問題に取り組む上で役立つ」と語った。
現在、抗レトロウイルス薬を定期服用している人数は2100万人余りで、世界のHIV感染者の59％にとどまっている。
研究チームは、いくつかの制約についても指摘。その一つとして、研究の対象となったHIV陰性の男性の平均年齢が38歳であることがある。HIV感染の大半は25歳未満の人々の間で起きている。また、ARTを受けている人は生涯にわたりほぼ毎日の投薬が必要であり、さまざまな理由で治療が中断されがちであるとの問題もある。(c)AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3223538
