
https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20250303-OYT8T50060/
35歳独身、契約社員の女性。都内の実家で、両親、祖母と暮らしています。3歳年下の妹は、就職を機に実家を出て1人暮らしをして、その後結婚しました。最近、妹や伯母などから「子供部屋おばさん」と呼ばれ、「親のすねかじり」「自立していない」などと言われていることを知りました。
確かに、料理、洗濯、掃除などは専業主婦の母に任せっきりですが、実家には毎月、お金を入れ、両親との関係も悪くありません。自分の稼いだお金で、海外旅行に出かけたり、好きな洋服やバッグを買えたり、貯金もそれなりにできたりと、メリットしかないと思っています。
なのに、妹は「だから、いつまでも結婚できない」「そんなんじゃ、婚活で嫌われる」などと両親にこぼしているそうです。結婚をしないつもりではありません。「子供部屋おばさん」の何がいけないのか、批判されることに納得がいきません。(ハンドルネーム:ラフレシア)
「こどおば」批判、損得だけでは太刀打ちできない
写真はイメージです
ラフレシアさん、こんにちは。ラフレシアさんは子供部屋おばさん、当事者なのですね。きっとご家族だけでなく、「こどおば」と呼ばれて世間的に批判されがちなことにも「モヤッ」とされているのだと思います。
ニートでもない、結婚しないつもりでもない……。言い分はいろいろあると思いますが、その言葉通りラフレシアさんが「大人になっても子供部屋に住み続けるおばさん」をしているのですから、いくら「私はそうじゃない」と叫んだところで批判する人はいなくなりません。
では「何がいけないの?」というご質問ですが、私は「ラフレシアさんに軸がないこと」がまずいのではないのだろうか、と思います。
軸というのは、「信念」とか「思い」のようなものです。実家住みは「メリットしかない」とラフレシアさんはおっしゃっていますが、損得のモノサシだけでは批判に太刀打ちすらできないのです。理由は簡単です。価値観は人それぞれ、損得もしかり、だからです。
私の言う「軸」は、ビジネスの世界では「インテグリティ」と言われます。インテグリティとは、誠実さや高潔さなど、倫理的価値のことです。
わかりやすくラフレシアさんの話に置き換えるなら、「自分や家族、自分を取り巻くみんなに誠実であるための自身の確固たる思い」がインテグリティ、すなわち「軸」です。
ラフレシアさんはどんな軸が持てそうですか?
例えば、両親といっしょに暮らすことこそ最大の親孝行だ、でもいいのです。自分や周りに誠実であるための軸があれば、それに基づいて行動しているだけですから、堂々と胸を張れます。そこに自信も生まれます。
「こどおば」と言いたい人には、言わせておこう!
前向きに、自然にこんな気持ちになれるように。時代は多様化です。だからこそ、「モヤッ」とする言葉にザワつかず、しなやかにスルーしていきましょう。(コピーライター 坂本和加)