>>1 「年金扶養比率」から見える一元化の本当の理由
一元化による共済年金制度の変更点だけをみると、確かに共済年金加入者のデメリットが多い印象を受けます。
しかし、表向きには「年金制度の公平性・安定性確保」が一元化の目的とされていますが、財政破綻寸前の公務員共済制度の救済が本当の狙いではないかとの意見が一部の専門家から上がっています。
その根拠は公務員共済の「年金扶養比率」の低さにあります。
年金扶養比率とは、1人の年金を何人の加入者で支えているのかを示す数値で、「現役世代の公的年金加入者数÷受給資格のある加入者数」といった計算式で出されるものです。
数値が低いほど財政状況が苦しいと判断できます。
公的年金制度の年金扶養比率
年金制度名 年金扶養比率
厚生年金 2.57
私学共済年金 4.30
国家公務員共済 1.64
地方公務員共済 1.42
参考: 厚生労働省「公的年金財政状況報告-平成29年度-」をもとに執筆者作成
厚生労働省年金局の「公的年金各制度の年金扶養比率の推移」によれば、2017年度の年金扶養比率は厚生年金が2.57、
私学共済年金が4.30、
国家公務員共済が1.64、地方公務員共済が1.42です。
公務員共済が著しく低いことがわかります。
このことから公務員共済の救済のためであって、実際は厚生年金加入者にとって不利な改革ではないかという見方ができます。