ミャンマーで拘束の日本人映像制作者 禁錮刑100年の判決
ミャンマーの裁判所は15日、日本人ドキュメンタリー映像制作者の久保田徹さん(26)に、計100年の禁錮刑を言い渡した。
久保田さんは、扇動罪で禁錮30年、電子通信法違反罪で同70年の判決を受けた。これらの刑期を同時に服役できるのかは不明。
久保田さんは7月に、首都ヤンゴンであった反政府集会の会場付近で拘束された。
出入国管理法違反罪にも問われており、裁判が来週開かれる。
共同通信によると、ミャンマーの軍事政権は久保田さんについて、観光ビザで隣国タイからミャンマーに入国し、昨年の反政府デモに参加したと主張している。
また、久保田さんが以前、少数民族ロヒンギャについて報じていたとしている。
ドキュメンタリーを撮影か
久保田さんの友人が今年、報道機関に語った話では、久保田さんは今年7月に初めてミャンマーに入り、「ミャンマー人を主人公にしたドキュメンタリー」を撮影していたという。
映画監督に関するサイト「Film Freeway」によると、久保田さんは2014年に日本でロヒンギャ難民と出会い、活動を開始。「ミャンマーの難民や民族問題に関する数本の映画」を制作した。
久保田さんのインスタグラムのプロフィールには、ロヒンギャ難民の写真が何枚か載せてある。古いものは2017年にさかのぼる。
ジャーナリスト保護委員会のショーン・クリスピン東南アジア上級代表は、「ミャンマーが日本人ジャーナリスト久保田徹を拘束したことは、独立した報道を弾圧するために軍事政権は手段を選ばないことを示している」、「ミャンマー軍事政権は、ジャーナリストを犯罪者として扱うのをやめるべきだ」と、これまでにコメントしている。
昨年も日本人を起訴
ミャンマーでは昨年も、日本のフリージャーナリストが虚偽のニュースを広めたとして逮捕・起訴された。昨年2月に軍が政権を握って以来、外国人ジャーナリストが訴追されたのは、これが最初だったとみられている。
このジャーナリストはその後、釈放された。ミャンマー当局は、法律に違反する行為があったものの、日本政府の要請を受けて釈放したと説明した。
ミャンマーでは昨年2月、民主的に選出されたアウンサンスーチー政権を軍が倒し、大規模な抗議行動が起きた。これまでに、議員、活動家、ジャーナリストなど1万5600人以上が拘束されたとみられている。
https://www.bbc.com/japanese/63168049