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地元・堺にいそうな若者が主人公 片岡愛之助おすすめの歌舞伎の名作
各界で活躍する著名人に、自身がおすすめしたい「逸点」を紹介してもらいます。大阪で生まれ育った歌舞伎俳優・片岡愛之助さんにとって、それは一体どんなものなのでしょうか。
私の逸点
子どもの時に片岡秀太郎に声をかけていただき、私は一般家庭から歌舞伎界に足を踏み入れました。十三代目片岡仁左衛門の部屋子になり、後に秀太郎の養子になって、「松嶋屋」の一門として今に至ります。
上方の歌舞伎を受け継ぐ松嶋屋にとって、大坂が舞台の歌舞伎「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」は、おじの片岡我當や十三代目らもつとめてきた大切な演目。私にとっても、思い入れがある古典の名作です。
主人公の団七九郎兵衛は、堺で魚売りをしていた若者。勢いがあって、義理人情に厚い。堺で生まれ育った私からすると、等身大というのでしょうか、今も堺にいそうな、非常に親しみのある男です(笑)。関西弁も私にとってはネイティブな言葉。江戸弁の方が難しくて大変ですよ。