一般負担金は、沖縄電力を除く大手電力会社9社と日本原子力発電、日本原燃が機構に毎年度納付。
13~19年度は計1630億円ずつ払ってきた。
しかし、福島第一原発事故の賠償費用が当初の想定より増えることが判明し、20年度から原発を持たない新電力の利用者にも負担を求めることに。
毎月の電気料金に含まれる託送料金から毎年約600億円回収し、一般負担金に上乗せする仕組みを国が考案した。
下期から導入した20年度は半分の約300億円、21年度は満額の約600億円、納付額が増えるはずだった。
しかし、21年度分について立憲民主党の山崎誠衆院議員が質問主意書で国に問い合わせたところ、大手電力会社などの実質負担分が前年度の計1630億円から計1337億円に減額されていたことが分かった。
背景には電力各社の厳しい経営状況がある。16年の電力小売り全面自由化に伴う競争激化に加え、燃料費高騰により昨年度は軒並み経常利益が減少した。
一般負担金の額は、年度ごとに機構が申請。経済産業相の認可で決定する。同省の担当者は本紙の取材に減額を認めた上で「昨年度、一部の電力会社は赤字に陥るなど厳しい経営状況を勘案した。減額しなければ電力の安定供給にも影響を与える」と説明した。
原発のコストに詳しい龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「一般負担金の支払いが苦しいと言うなら、それも含めて原発にかかるコストだ。他業種の経営も厳しいのに原発事業者だけが守られるのはおかしい。国や機構は減額の理由を公に説明するべきだ」と指摘した。