問題は乗車中の快適性をいかに確保するかだな
>京大生ら3人が貨物列車のすき間に入り込んだワケ <MSN産経 2011/10/29 07:00>
http://kobetransport.blog.shinobi.jp/Entry/263/ JR湖西線近江舞子駅(大津市西小松)。のどかな田園地帯の中にあるこの駅で2011/08下旬、駅のホームに停車中だった貨物列車に、夏休み中の京都大学生ら3人の男子大学生が飛び乗るというアクシデントが起きた。
コンテナと土台車両のわずか幅約60cmの隙間にしゃがみ込み、約7km離れた地点まで走行。だが、運転士に見つかり列車は緊急停車。3人は滋賀県警大津北警察署に鉄道営業法違反の疑いで事情を聴かれた。
3人は、駅から約15km離れた地点にある環境省選定の「平成の名水百選」の1つ「針江の生水」(滋賀県高島市)に「行こうとした」と話したという。3人は中学、高校の同級生。どんな思いで無謀な行為に及んだのか。
■わずか60cm幅…しがみつき耐えた
「男の人3人が、止まっていた貨物列車に飛び乗ったようだ」
2011/08/24 17時頃、JR近江舞子駅のホームにいた男子中学生が、時間調整のため停車していた松山発金沢貨物ターミナル行き貨物列車(21両編成)に飛び乗った男3人に気づき、駅員に知らせた。
貨物列車は直後に出発したが、駅員から連絡を受けたJR西日本の運転指令所(大阪市)が、緊急停車を指示。列車は同駅から約7km先の北小松〜近江高島間で停車し、運転士が車両を点検したところ、13両目にいた男3人を発見した。
運転士は3人を降ろし、逆方向から現場付近に走行してきた特急「サンダーバード34号」大阪行きを緊急停車させ、3人を近江舞子駅に連れ戻した。
滋賀県警によると、3人は京都大学2年、新潟大学2年、東京外国語大学1年の当時19〜20歳の男子大学生で、愛媛県内にある中学、高校時代の同級生だった。捜査員に対し、3人は「針江の生水に行きたかった」「名水巡りに興味があり、夏休み中、仲がいいメンバーで行ってみようと思った」と話したという。
それにしても、なぜ貨物列車だったのか。滋賀県警に対し、3人は「乗るはずだった列車が遅れ、焦っていた。ちょうど駅のホームに停車していた貨物列車に乗れそうだったので乗ってしまった」と説明したという。
当日、京都府内のJR京都線の踏切で大型トラックが立ち往生したため、JR京都線の他、湖西線でもダイヤが乱れていた。捜査関係者によると、3人はJR京都駅で湖西線近江舞子行き普通電車に乗車、針江の生水の最寄り駅、JR新旭駅(滋賀県高島市)まで行こうとしたが、近江舞子駅では電車が約1時間遅れていたという。
■惨事にもなる危険行為
貨物列車は乗客を想定していない。3人はどのような場所に乗り、7kmの行程を走ったのか。
貨物列車運行を担うJR貨物関西支社(大阪市)によると、貨物列車は、土台車両にコンテナが1〜5個搭載されている。3人が乗った車両のコンテナは1個だったが、コンテナと土台車両のうち人間が入れる空間は幅約60センチ、長さ約2・5メートルしかない。3人はここに並んで手すりにつかまり、しゃがみ込んで乗車していたという。
貨物列車は通常、時速75〜130キロで運行。3人が乗っていた列車は95キロ程度のスピードを出していた。
JR貨物関西支社の広報担当者は「何らかの原因で急停車すれば、その勢いで外に飛び出ることも考えられ、大惨事になる可能性もあった」と指摘し、「海外の映画やドラマを見ると、貨物列車に乗りこむシーンが出てくるため、簡単にできそうな気がしてしまうかもしれないが、極めて危険。絶対に乗車しないでほしい」と警鐘を鳴らす。
さらに、貨物列車は基本的には途中下車しない。3人が乗った列車も、近江舞子に停車したのは時間調整のためで、その後は「針江の生水」の最寄り駅・新旭駅には停車せず、福井県敦賀市の敦賀駅までノンストップで運行していた。
県警によると、3人は捜査員に、憔悴(しょうすい)した表情で、「各駅に止まると思っていた。速度が上がって怖かった。軽はずみな気持ちでした。申し訳ありませんでした」などと、反省の言葉を口にしたという。
捜査関係者の1人は「3人の乗車がたとえ、だれにも見つからなかったとしても、敦賀に到着するまでは降りられない。敦賀から新旭まで引き返すには、乗車時間だけで1時間ほどかかるうえ、電車待ちなどを考えれば、『針江の生水』には当日中にはたどり着くのは難しかっただろう」と話す。