宣言解除1週間 飲食店「客足戻らない気が…」 頼みはワクチン
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除されて29日で1週間となる。飲食店への営業時間短縮要請は1時間緩和されて午後9時までとなったが、飲食店関係者からは「客足は戻っていない。ワクチン接種が広がらないと……」という声が上がっている。【山越峰一郎】
埼玉県のJR大宮駅東口の目の前にあるアーケード街「すずらん通り」。25日夜に取材に訪れると、飲食店内には8割ほどの人が入っているように見えた。NTTドコモによると、この日の午後3時時点の大宮駅西口の人出は、感染拡大前の2020年1〜2月の平均より5・5%多かった。
居酒屋「鐘屋(かねや)」には6組12人の笑い声があふれていた。だが、オーナーの池田和靖さん(64)は「多少はお客さんが増えたが、もう少し期待していた」。36席あるが、社会的距離を取るため4人用の席を2人用にしており、席数は実質半減している。
「県や国がどうではなく、ワクチン接種が広がり、安心できないと」と池田さん。店は透明ビニールシートをのれん代わりにして、ドアは開けたままだ。時短要請解除後も、当面は現在の席数を維持するつもりという。
ラストオーダーの午後8時。店内にいた5組13人の客からは、ハイボール計6杯の注文が入った。飲食時以外はマスクをして会話をする客もいた。
大宮の不動産会社に勤める男性2人組は、今年初めて飲みに来たという。上司(41)は「『飲みニケーション』も大事。職場の外でねぎらったり、相談を受けたりすることができず仕事にも影響していた」。部下(28)も「午後9時までになり、仕事の終わりに行けるようになった」と話す。これから上司は神奈川、部下は栃木に帰宅するという。
閉店の午後9時が近づくと、店員が声をかけずとも客は帰っていった。「以前は午前0時まで開けていたが、客足はもう戻らない気がする」。池田さんは複雑な表情だ。
大宮駅周辺では午後9時以降、多くの店が閉まったが、南銀座通りでは営業を続ける店舗もある。「居酒屋いかがですか」「午後11時まで大丈夫ですよ」。通行人に声をかける店員の姿もあった。
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