
「大阪都構想」の代案として大阪市内24区を8区に再編する「総合区」案を巡り、松井一郎市長(大阪維新の会前代表)は3日、2月議会への条例案提出を見送る方針を明らかにした。
時期尚早とする公明党に配慮する一方、都構想のもう一つの代案である、大阪市の広域行政の一部を大阪府に一元化する条例案への賛成を求める考えとみられる。
維新は市議会で過半数を握っておらず、公明に協力を求めていた。
松井氏は3日、記者団に対し、公明と2日に協議したと説明。「本来なら(かつて総合区制度を主張していた)公明党が旗を振る立場になるが、議会での議論は時期尚早なので取り下げてくれということだった」と述べた。
総合区制度は区長の権限を強化し、地域の実情に即した住民サービスを提供するのが狙い。
地方自治法改正で2016年4月に政令指定都市で導入が可能になったが、実際に導入された例はない。
24区を4特別区に再編するとした都構想が20年11月の住民投票で否決されたため、松井氏が導入を主張。10日開会の2月議会での条例案提出を目指していた。
公明が慎重である背景には支持層の強い反発がある。公明はもともと都構想に反対で、総合区制度の導入を主張していた。19年5月に都構想賛成に転換したが、支持層には都構想や維新への反発が残っている。
公明関係者は「支持者の間には、住民投票が終わったばかりなのに、また維新に迎合するのかという声がある」と明かす。
松井氏は総合区制度の導入を進める方針については「変わりません」と述べた。5月以降の条例案提出をめざすとみられる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHC032690T00C21A2000000/