![](http://img.5ch.net/ico/nida.gif)
『スター・ウォーズ』前のディストピアSF映画から窺える未来への覚悟
続いてリチャード・フライシャー監督の『ソイレント・グリーン』(73)。原作はハリイ・ハリスンの『人間がいっぱい』です。
こちらの舞台は2022年(もうまもなくですね)のNY。人口増加と環境汚染に見舞われて食糧不足に陥って久しい
未来格差社会では“ソイレント・グリーン”なる合成食品が一般市民に配給されていました。
そんなある日、その合成食品製造会社の社長が殺害され、捜査を開始した刑事は、やがてソイレント・グリーンを
めぐる驚愕の事実を知らされることになります……。
個人的には初見の際、こちらのラストのほうが『猿の惑星』以上に衝撃的でしたが、そこに至るまでのサスペンスの盛り上げも見事で、
名優エドワード・G・ロビンスン扮する老人が“ホーム”と呼ばれる施設の中でヴェートーベン《田園》を聞きながら眠り(!)に
つくシーンの美しくもショッキングな情緒は今なお思い出すだけで鳥肌が立ってしまいます。
この後もチャールトン・ヘストンは『ハイジャック』(72)『大地震』(74)『エアポート75』(74)とパニック映画に主演して頼れるタフガイぶりを披露。
今ふりかえると、80年代のシルヴェスター・スタローンに近いイメージのものがあったような感もあります。
晩年は全米ライフル協会会長に就任(98〜03)して、アメリカ国民が銃武装することの権利と正当性を訴え続けて、
各方面の激しい賛否も浴びましたが、もしかしたら彼はかつて主演したディストピアSF映画群が描く未来社会の到来に
対しても過剰な危機意識を持っていたのかもしれませんね。
https://cinema.ne.jp/recommend/sf2020052218/