安倍晋三首相は2019年11月20日、通算在職日数が桂太郎(2886日)を抜いて歴代1位となった。
しかしながら、「桜を見る会」の疑惑と重なったこともあり、世間の反応は複雑だ。
各種世論調査の支持率もやや下がっている。「BOOKウォッチ」掲載本からこの一年の安倍政権を振り返ると−−。
『悪だくみ』と『官邸官僚』
令和への移行をスムーズに終えた安倍政権。とはいえ出版界では辛口本が目立った。
まずはノンフィクション作家の森功さんの『悪だくみ』(文春文庫)。2018年の「大宅賞」を受賞した同名作品に加筆し、19年に早くも文庫化したものだ。
「『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」というサブタイトル。加計学園経営者と安倍首相のただならぬ長年の関係について特に力を入れて書いている。
「桜を見る会」でも露呈した、安倍首相の「お友だち」や「お仲間」優遇。本書はよりシビアに「依怙贔屓(えこひいき)」という言葉で説明している。
その安倍長期政権を支えているのは、官邸の官僚たちだ。森氏は5月刊の『官邸官僚』(文藝春秋)で、
「安倍一強を支えた側近政治の罪」を問うた。「秘書官をはじめとした首相の分身である官邸官僚たちが、
霞が関の中央官庁に働きかけ、無茶な政策を実現させていく。安倍政権でしばしば見られた光景である。
官邸による意向がまかりとおり、それがときに不祥事として噴出してきた」。
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