少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実
〈2022年危機に向けた健保連の提案〉
今年9月9日、社会保障に関する提言をまとめたこんなタイトルのレポートが公表され、話題を呼んでいる。作成したのは「健康保険組合連合会」。全国約1400の企業健保組合からなる連合
組織で、加入者は全国民のおよそ4分の1に当たる約3000万人。
日本の医療制度を支えてきた巨大組織が「このままでは従来の健康保険の仕組みは維持できない」と悲鳴を上げたのだ。
レポートの内容を要約すると、次のようになる。
〈急激な高齢化と現役世代人口の減少により、医療保険制度における現役世代の負担はますます大きくなり、医療、介護、年金を合わせると、社会保険料率が間もなく30%を超えることになる。
これを避けるためには、後期高齢者の医療費負担を原則2割とするなど、世代間の負担のアンバランスを是正する改革を進めるべきだ。〉
提言の中身そのものは目新しいものではないが、注目すべきは、なぜこのレポートが「2022年危機」と名付けられているか、だ。
実はこの年から、推定800万人といわれる団塊の世代(1947年〜'49年生まれ)が75歳になり、総人口(1億2400万人)に対する75歳以上の人口が約1900万人と2割近くに迫るのだ。
健保連はその危機を迎える前に、一刻も早く対策をとるべきだと声を上げたわけだが、75歳以上の人口急増は、具体的に社会や経済にどんな影響を与えるのだろうか。
ニッセイ基礎研究所・生活研究部の天野馨南子准主任研究員が社会保障費の観点から解説する。
「男性の健康寿命は75歳と言われていて、この歳を越えると、ほとんどの人が日常的な医療支援や介護が必要な状態になります。そして、一人当たりにかかる医療費や介護費が跳ね上がります。
厚労省によると、一人当たりの年間医療費は65歳未満で平均18万円なのに対し、75歳以上では91万円に急増します。介護費も同様です。75歳以上の人口が急増するということは、日本社会全
体にのしかかる負担も急増することを意味するのです」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67765