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香港政府が覆面禁止法検討 過激デモ牽制、中国も後押し
香港政府が、デモの際に参加者がマスクなどで顔を覆う行為を制限する「覆面禁止法」の制定を検討している。過激化した一部のデモ隊を牽制(けんせい)する狙いがあり、中国側も立法化を後押ししている。香港の民主派は、デモは国外に比べて平和的だと主張し、政府の動きに反発している。
香港で続くデモでは、最前線で警察と対峙(たいじ)する参加者たちが、ゴーグルや防毒マスクなどで顔を覆っていることが多い。警察が撃つ催涙弾への対策のほか、自身の顔を警察に撮影され、後に拘束されないようにするためだ。
香港政府高官は今月中旬、立法化に向け検討を進めていると表明。中国共産党機関紙の人民日報海外版は18日、「香港政府はためらうな」と早期制定を呼びかける評論を掲載した。香港メディアによると、欧州の国々や米国の州には、覆面によるデモを禁止する法律があるという。
香港では21日にも警察の取り締まりを検証する独立調査委員会の設置など「五大要求」を訴えるデモが西北部の屯門であった。参加者たちは顔を覆い、一部が公立施設に掲げてあった中国国旗を焼いたほか、警備の警察と衝突した。
デモには4300人(警察発表)の市民が参加。「暴徒はいない、暴政があるだけだ」「香港を立て直せ」などと叫びながら約1時間にわたって行進した。参加した会社員の男性(26)は「政府はわれわれの訴えをほとんどかなえていない」と不満を訴えた。
一方、この日は親中派の呼びかけをきっかけに、デモを支持する市民らが香港各地に張ったビラをはがす活動も行われた。香港メディアによると、ビラをはがす人とデモを支持する市民との間で口論も起きたという。