MMTが「就職氷河期世代」に支持される深い理由
新理論による「現実」対「虚構」の歴史的転換点
https://toyokeizai.net/articles/amp/298560?page=5
中野 剛志 : 評論家
知識人(経済学者)には、次の3つの特徴があるとシュンペーターは言う。
第1に、「実際の事件に対して直接の責任をもたない」
第2に「実際の経験からのみ得られる生の知識をもたない」、
そして第3に「批判的態度」を旨とする(『資本主義・社会主義・民主主義』)。
経済学者たちは、政党のパンフレットや演説の原稿を書いたり、政治家の秘書や顧問として働いたりするなどして、より直接的に政治に入り込む。
経済学者たちは、政策に深く関与し、社会に多大な影響を及ぼすようになる。
しかし、経済学者たちは「実際の事件に対して直接の責任をもたない」し、「実際の経験からのみ得られる生の知識をもたない」のである。
そんな彼らが構築した理論は、しょせんは机上の空論である。机上の空論なのだから、現実の社会で通用するはずもない。
だが、「批判的態度」を旨とする経済学者たちは、理論に合致しない現実の社会のほうを批判する。そして、現実の社会を破壊しようと企てるというのである。
このシュンペーターによる「経済学者の社会学」は、主流派経済学者たちがMMTに対して異様なほど抵抗した理由をよく説明しているであろう。