悲観すべきでない日本の人口減少
原田泰 (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)
高齢者社会のコスト引き下げ
人口が減少すること自体は、少しも問題ではない。人口が増加していくことを前提に
した制度を作ってしまったことが間題なのである。しかし、高齢社会のコストが高
すぎるなら、たんにそれを引き下げれば良いだけの話である。
高齢社会の主要なコストとしては、医療、介護、年金とさまざまあるが、ここでは
最も重要な年金について扱う。
これからも続く日本の豊かさ
日本の少子高齢化は否応なく進む。これまでのような高い年金給付が維持できるは
ずがなく、維持できない制度なら、給付水準を減額するほかはない。減額しても、
給付が確実になれば、むしろ生活不安はなくなるはずである。しかも、減額されて
も日本の年金は、世界一高い。
また、人口減少そのものが生活の豊かさに直結する。人口が減少すれば、生活環境
の面でも豊かさを享受できることになる。人口減少は、今まで人口増加を前提に作
られてきたさまざまな社会の仕組みを、少子高齢社会に適したものに変えていくこ
とを迫っている。一人当たりの生産性を高め、より多くの人が働き、高齢社会の
コストをカットすればよい。そのような改革ができれば、人口減少社会はむしろ
楽しいものとなる。
http://www.glocom.org/sum_ja/past_sum/index52.html