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初春歌舞伎、楽しく分かりやすく 国立劇場、来年も尾上菊五郎劇団で幕開け
国立劇場(東京)の歌舞伎は、2019年も尾上菊五郎劇団で幕を開ける。演目は「通し狂言 姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ)」。城を舞台に展開するお家騒動だ。例年趣向たっぷりの舞台をつくってきた菊五郎は「お客さんも待っていると思う。あっと言わせたい」と語る。
作品は、国立劇場が1991年に212年ぶりに復活させた並木五瓶作の「袖簿播州廻(そでにっきばんしゅうめぐり)」が原作。タイトルの通り兵庫県の名所を織り込んだ構成だったが、東京ではなじみが薄いため、城内での動きに焦点をしぼるよう変える。
菊五郎が演じるのは、忠臣を装いつつ復讐(ふくしゅう)のため主家・桃井(もものい)家の没落を狙う家老、印南内膳。「初春らしい、明るく、楽しく、分かりやすい歌舞伎をつくっていきます」
尾上松緑は忠義の家臣で実は与九郎狐(きつね)という役。「以前稽古した『義経千本桜』のノウハウをいかし、いかに狐と人間の違いを出すか」。その妻お辰を演じる尾上菊之助は「五瓶さんの台本は、七五調ではなく字余り字足らずで、リズムではなく感情を大事にした芝居をつくらないと成立しない。内面を大事にがんばりたい」と話した。
中村時蔵は桃井家の再興をはかろうとする後室の碪(きぬた)の前。今回は平成最後の初春歌舞伎だが、昭和の最後にも国立劇場に出演した。取材会でこの30年の変化を問われ、「お兄さんがちょっとお年をめしまして、出番が減っています」と冗談めかし、菊五郎から「うるさいよ」と一喝された。
菊之助の長男、寺嶋和史、寺島しのぶの長男、寺嶋眞秀(まほろ)という菊五郎の孫2人が歌舞伎の本興行で初共演する。(星賀亨弘)
◇1月3〜27日。1万2500〜1800円。