一筆半歩:まずは「おめでとう」=日下部元美 /北海道 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171030/ddl/k01/070/114000c
教育関係者に取材していたとき、道内高校の教員会議で妊娠した生徒の処遇について議論した時のエピソードを聞いた。
「当然進路変更だろ」と暗に退学を促す意見が男性教員から相次ぎ、それを聞いた女性教員が、「当たり前に進路変更とはどういうこと?。当たり前なのは『おめでとう』と言うことでしょ」と指摘したという。
妊娠したら退学しなければならない、などという法的根拠はない。
にもかかわらず、周囲の理解が足りずに大半は「進路変更」として中退してしまうのが現実だ。
中卒での就職活動は難しく、貧困につながると指摘される。
日本では盛んに少子化問題が叫ばれているにもかかわらず、結婚、妊娠した女性への社会の意識について、疑問に思うことがよくある。
民間企業の総合職で働く友人は「本音をいうと結婚、妊娠されると迷惑」と言われた、と話していた。
婚前の妊娠については、やたらと批判されるケースも多い。
私たちは、みんな誰かから生まれてきたはずなのに、自分の存在を棚に上げて祝福する気持ちを忘れていないだろうか。女性教員の言葉が胸に響いた。