京アニ犠牲25人、公表めぐり警察庁と京都府警が見解相違
「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオ放火殺人事件の犠牲者35人のうち、京都府警捜査本部が氏名を明らかにしたのは10人にとどまっている。
実名発表に対して遺族の了承が得られていない上、公表内容やタイミングを巡って警察庁との間で意見が折り合わず、残る25人の公表時期は依然、めどが立っていない。
府警は事件発生から半月後の今月2日、22〜61歳の男女10人の犠牲者の氏名を公表した。
公表が一部にとどまったのは、府警が「氏名公表に関して遺族の了承が得られ、葬儀を終えた犠牲者を先行的に公表する」との異例の判断をしたためだ。
京アニ側は府警に対し「実名発表で報道されると、被害者やご遺族のプライバシーが侵害され、ご遺族が甚大な被害を受ける可能性がある」として、匿名発表を強く要請した。
その後、報道各社に「(実名発表を)永久に控えてもらうことを、お願いしているのではない」との意向を示している。
捜査関係者によると、府警は「遺族に理解を求めた上、たとえ了承が得られなくても、従来通りに公表する」との立場を堅持している。
だが、警察庁は「公表には遺族の了承が必要」との考えを固持。
10人の犠牲者の氏名公表から数日後、府警は残る25人の氏名を盆前にも一括公表する方針を立てたが、警察庁の了解が得られず、結論は先送りされたという。
捜査関係者は「箸の上げ下げまで注文してくるのが警察庁。氏名の公表は府警が自ら判断すべきことなのに、完全に主導権を握られてしまっている」と打ち明ける。
警察庁は「被害者の氏名の発表については、京都府警が遺族の意向などを踏まえ、適切に判断するべきものと考えている」としている。
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