果林(彼方との待ち合わせのお店は…ここね)
果林(ちょっと遅れちゃったわね)
果林(…迷ったわけじゃないのよ)
果林(ただちょっと店の場所が分かりにくかっただけで)
果林(連絡はしてあるけど、怒ってないかしら?)
果林(会ったらまず謝らないと…)
果林(落ち着いた雰囲気のいいお店ね)
果林(彼方は…どこにいるのかしら?)
果林(あ、あそこで寝てるのは…)
果林(彼方…よね?)
果林(顔は見えないけど、服もバッグも前に見たことあるし)
果林(え、寝ちゃうほど待たせちゃった!?)
果林「…彼方?」
彼方「ん…」
彼方「あ、果林ちゃんおはよう」
彼方「ごめんね寝ちゃってて」
果林「いえ、謝るのは私の方だけど…」
果林「ごめんなさい遅くなって」
彼方「別にいいよ~」
彼方「迷った?」
果林「…」
彼方「まあこのお店分かりにくいよね~」
彼方「看板も目立たないし」
果林「何で迷ったって決めつけるの?寝坊かもしれないじゃない」
彼方「…遅れた理由はどっちでもいいけど」
彼方「どっちにしてもかっこいい果林ちゃんとしては表に出したくないことなんじゃない?」
果林「それは…」
彼方「それに寝坊したんだとしたら、あんな直前の連絡にならないんじゃないかな」
果林「…確かにそうね」
彼方「それより果林ちゃんは何頼む?」
果林「そうね…」
果林「彼方のそれは…ミルクティーとスコーン?」
彼方「うん、ここはスイーツセットがお得なんだけどね。特にスコーンが売りなんだ♪」
果林「へえ…じゃあ私もそれにしようかしら。飲み物はカフェラテで」
彼方「じゃあ店員さん呼ぶよー」
果林「あ、そうそうこれ」
果林「前にあげるって言ってた洋服」
果林「全部私のお古になっちゃうけど、ある程度は綺麗なはずだから」
彼方「わぁ、ありがとう!」
彼方「こんなに貰っちゃっていいの?」
果林「いいのよ。今日のお礼のようなものだから」
果林「彼方に合いそうな物選んできたつもりだけど、気に入らなかったらそのまま捨てちゃってもいいわ」
彼方「大丈夫、果林ちゃんセンスいいもん。きっと彼方ちゃんが気に入るものばっかだよ」
彼方「じゃあ、お勉強始めますか」
果林「ええ」
彼方「もうすぐテストだもんねー」
彼方「果林ちゃんが赤点取っちゃわないように頑張らないと」
果林「お願いします、彼方先生」
彼方「うむ、まかせたまえ」
───
果林「ねえ、ここなんだけど…」
彼方「…」
果林「彼方?」
彼方「はっ…ごめん。どれ?」
果林「そんなに眠いの?」
彼方「ううん大丈夫、大丈夫」
果林「昨日夜遅くまで勉強してたとか?」
彼方「うん…それもそうなんだけど…」
果林「けど?」
彼方「朝から夜までずっとバイトで…」
果林「1日中!?」
彼方「短気だけどお給料がよかったから…」
果林「それでその後に勉強してたってこと?」
彼方「明日までの課題があったからね…」
果林「だったら言ってくれれば今日だって午後からにしたのに」
彼方「いやぁ…今日はこれから買い物と料理と掃除と洗濯もしないといけないから」
彼方「いろいろ忙しいのだよ」
果林「もしかして…私が勉強教えてもらいに来るの迷惑だった?」
果林「彼方の貴重な時間を使わせちゃってるし…」
彼方「そんなことないよ!」
彼方「人に教えることで自分の知識の確認にもなるんだから」
彼方「それに彼方ちゃんも頼られるのは嬉しんだよ」
彼方「だから果林ちゃんは気にしないで」
果林「そう?それならいいけど…」
彼方「時間を気にするなら、果林ちゃんにはどんどん勉強を進めてもらないと」
彼方「よし、彼方ちゃんもしゃっきりするぞー」
───
果林「今日はありがとね」
果林「まさかお昼も過ぎてこんな時間まで勉強してるなんて…」
果林「彼方のおかげよ」
彼方「いやいや、彼方ちゃんもおかげでテスト勉強できたし」
果林「これでテストもバッチリ…だといいけど」
彼方「果林ちゃんなら大丈夫だって」
彼方「あれ、お会計は?」
果林「ああ、さっき済ませておいたわよ」
彼方「えっ、いつの間に」
彼方「いくらだったっけ?」
果林「いいわよ。全部私が持つわ」
彼方「え…そんなわけにはいかないよ」
彼方「飲み物のおかわりやお昼だって食べたんだから」
彼方「自分の分はちゃんと払うよ」
果林「気にしないで。家庭教師代と思ってくれれば」
彼方「いやいや、それは私もお洋服貰ったんだからチャラだよ」
彼方「それに友達に勉強教えることで普通お金なんか取らないって」
果林「大丈夫。一応モデルでそこそこ稼いで余裕はあるんだから」
果林「彼方もお財布厳しいんでしょう?」
果林「なんなら今度遊びに行ったときも全部私が出すわよ」
彼方「なにそれ…」
彼方「全部出す?私が貧乏だから?」
果林「え?」
彼方「私が可哀そうだから?恵んであげようって?」
果林「いや、そういうわけじゃ…」
彼方「私としては果林ちゃんと対等な関係のつもりだったんだけど」
彼方「果林ちゃんはそんなふうに下に見てたんだね…」
果林「ちがっ…」
彼方「そりゃあうちはあんま余裕ないよ」
彼方「私だって特待生でなんとか虹ヶ咲に通えてるし」
彼方「生活費はともかく自分が使う分は自分で稼がなきゃいけないし」
彼方「それでも友達にお金の負担をかけさせるようなことはしたくなかったよ」
彼方「そのために買うものはいろいろ考えてるんだから」
彼方「果林ちゃんはいいよね。顔やスタイルがいいから」
彼方「モデルで楽に稼いで遊ぶお金には困らないよね」
果林「は?」
果林「…楽?」
果林「私がそんな簡単に稼いでると思ってるの?」
彼方「え…?」
果林「モデルの仕事をバカにしてるの?」
果林「見た目さえよければ楽勝だって?」
果林「見た目がいいだけの人なんてたくさんいるの」
果林「読者モデルなんて大半の仕事は1回で終わり。その後は自分で見つけてこなきゃいけない」
果林「仕事をつかむためには同業者に勝たないといけない」
果林「だからプロデューサーに媚を売ったり、SNSで宣伝したり」
果林「体型維持も含めたセルフケアだって気にする必要がある」
果林「顔やスタイルがよければそれだけでどうにかなるわけじゃないのよ」
───
果林(はぁ…)
果林(あれから結局お互いに黙って帰っちゃったけど)
果林(どうしましょう…)
果林(確かに言いすぎちゃったわよね)
果林(無神経で、傲慢で…)
果林(自分に呆れるわ)
果林(彼方に謝らないとね)
果林(連絡…ううん、こういうのは直接会って言わないと)
果林(今日は彼方も家事が忙しいって言ってたし…)
果林(明日学校で…)
───
果林「…ん」
果林「ピンポンうるさい…」
果林「今何時…?」
果林「まだアラームなる前じゃない…」
果林「こんな朝になんなの?エマなら勝手に入ってくるだろうし…」
果林「一体誰が…」
果林「…彼方?」
彼方「ごめんなさい!」
果林「ちょ、ちょっと…」
彼方「私…果林ちゃんにひどいこと言っちゃった」
彼方「モデルのお仕事のこと勝手に決めつけちゃって」
彼方「果林ちゃんが頑張ってるのも見てたはずなのに…」
彼方「私が悪かったです。ごめんな…」
果林「ストップ!」
果林「何で…彼方がそんなに謝るのよ…」
果林「私が先に彼方を傷つけたのに…」
果林「勉強教えてもらってる立場のくせして、上から目線であんなこと言うなんて」
果林「そりゃあ彼方が怒るのも当然よ」
果林「彼方は売り言葉に買い言葉で出ちゃっただけでしょ?」
果林「謝らなきゃいけないのは私の方よ」
果林「本当に、ごめんなさい」
彼方「いやいや私が悪いよ」
彼方「果林ちゃんのは親切心なんだから」
彼方「私のは嫉妬から出た物なんだし」
果林「何言ってるの。そもそもきっかけが私なの」
果林「私が彼方にあんなこと言わなければ何も起きなかったんだし」
彼方「だから私が」
果林「私の方が」
果林「あーもう、やめやめ!」
果林「どっちが悪いとか終わりにしましょう」
彼方「うん…まあ、2人とも悪いってことで…」
果林「そうね…」
彼方「これで…元通り?」
果林「まあ、そうなのかしら…?」
彼方「あ、そうだ」
果林「待って」
彼方「え?」
果林「お金なら受け取らないわよ」
果林「昨日の代金は私が払った。それで終わりなんだから」
彼方「どうしても?」
果林「どうしても」
彼方「果林ちゃんも強情だね」
果林「彼方に言われたくないわ」
彼方「じゃあこっち」
果林「うん?」
彼方「果林ちゃんの分のお弁当作ってきたんだ」
彼方「あと朝ごはんもまだだよね?彼方ちゃんが作るよ」
果林「ちょ、ちょっと待って!」
果林「そんなにされても返せるものないわよ?」
果林「服は…だいぶ処分しちゃったし」
彼方「いいってそんなの。私がしたいだけだから」
果林「代金払う…とかじゃ昨日と同じ展開よね…」
彼方「ならさ、テスト終わったら遊びに行こうよ」
果林「遊びに?」
彼方「そう果林ちゃん、彼方ちゃんをエスコートしてよ」
彼方「あ、あんまりお金のかからないところでね」
果林「そんなのでいいの?」
彼方「いいの」
果林「…わかったわ。しっかり考えておくから」
彼方「もちろんテスト期間中は勉強のこと考えてね?」
果林「…分かってるわよ」
例のスレでインスピレーションが沸いたのかな
なんにせよ良かった乙
かなかり喧嘩スレから生まれたトキメキ?
いいですねぇ!好き
乙
喧嘩の入り方と仲直りのスピードが素晴らしかった
かなかりは万病に効くようになったから今後はどんどん広まってほしい
かなかり喧嘩スレ見て以来こういうのずっと見たかったから非常にたすかった
ぜひまたかなかりかいてくれ