アメリカ政府は、EU=ヨーロッパ連合やインドなどで導入の動きが広がる「デジタル課税」について、アメリカの巨大IT企業を不当に標的にしているとして、関税の引き上げなどの制裁措置も視野に、調査を始めると発表しました。
「デジタル課税」は、国境を越えて事業を拡大する巨大IT企業の売り上げなどを新たに課税対象とする税制で、ヨーロッパやアジア各国で導入や、導入の検討が進んでいます。
こうした動きに対して、アメリカ政府は、グーグルやアマゾンなどの自国の企業を不当に標的にしているとして反発してきましたが、通商代表部は2日、一方的に制裁措置を発動できる通商法301条に基づく調査を始めると発表しました。
調査の対象となるのはEU=ヨーロッパ連合のほか、イギリス、インド、ブラジルなど合わせて9か国です。
デジタル課税をめぐって、アメリカは、いち早く導入したフランスに対し、対抗措置としてシャンパンなどの関税の引き上げを検討すると表明し、フランス側からことし末まで税の徴収を延期するという譲歩を引き出しています。
アメリカとしては、制裁措置も辞さない強硬な姿勢を示すことで、各国に広がるデジタル課税導入の動きを阻止するねらいがありそうです。
2020年6月3日 7時26分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200603/k10012456001000.html