米運用大手ティー・ロウ・プライスは日本で個人投資家向けの資産運用事業に本格参入する。5月に同社として国内で初となる公募の投資信託を新規設定する。これまで日本では機関投資家向けの運用受託や私募投信を中心に事業を展開してきたが、投信の設定・運用を通じて幅広い個人に顧客のすそ野を広げる。
傘下の日本法人、ティー・ロウ・プライス・ジャパン(東京・千代田、本田直之社長)が5月28日、世界の成長株に投資する投資信託「世界厳選成長株式ファンド」を新規設定する。野村証券を通じて個人投資家向けに販売する。当初申込期間は5月13〜27日。
ティー・ロウは1937年設立の独立系運用会社で、3月末時点の預かり運用資産は約1兆800億ドル(約120兆円)と世界の運用会社で上位30社に入る。運用資産の約8割を米国の個人投資家などの顧客が占めるが、日本ではこれまで投資できる商品が私募投信などに限られていた。
近年では海外事業の拡充に力を入れており、オーストラリアなどにも拠点を設置。日本では18年に現地法人を設立した。投信の販売会社が頻繁な入れ替えで稼ぐ「回転売買」からの脱却を進めるなか、「長期保有に向いた運用商品への需要が大きくなってきた」(本田直之社長)と判断した。
2019/4/22 16:30
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44037850S9A420C1EE9000/