http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1710/25/news081.html
2017年10月25日 12時02分 公開
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、10月14日に都内でファンミーティング「IIJmio meeting 17」を開催。その中で、「Jアラート」が格安スマホに届かない問題や、セルラー版「Apple Watch」がMVNOでは契約できない件について取り上げ、IIJの広報部 技術広報担当課長の堂前清隆氏がその疑問に回答した。また、MVNO技術開発部のエンジニアである木野純武氏は、DSDS(Dual SIM-Dual Standby)端末が、2枚のSIMで着信できる仕組みを解説した。
SIMロックフリースマホにもJアラートの「信号」は届いている
IIJの公式技術ブログ「てくろぐ」を担当して堂前氏によると、北朝鮮がミサイルを発射するとアクセスが増加するそうだ。実際、アクセス状況をグラフにすると、iOS 11のリリースやiPhone 8/8 Plus、Apple Watchの発売当日よりアクセスが多かった日もある。
ミサイル発射がなぜMVNOや格安スマホに関係するかというと、Jアラートが格安スマホで受信できないという報道があったためだ。参議院外交防衛委員会の議事録にも、SIMロックフリー携帯電話にはJアラートが伝わらないのか、という質問が出たことが記載されていると堂前氏は紹介した。「実は国もけっこう気にしている」(堂前氏)という状況なのだ。
ところで、Jアラートを警報のことだと思っている人が多そうだが、実は違う。政府は「国民保護に関する情報」を出し、これが自治体やテレビ局、キャリアを通じて国民に届く仕組みになっているが、Jアラートは、政府から自治体やテレビ局、キャリアに届けるまでのネットワークのことをいう。情報自体がJアラートではない。
スマホや携帯電話に届くのは、ドコモの場合は「エリアメール」、auやソフトバンクの場合は「緊急速報メール」で、キャリアが届けている。「厳密には、『国民保護に関する情報がJアラートを通じてキャリアに届く。キャリアがエリアメールと緊急速報メールを使ってユーザーのスマホに届ける』という表現が正しい」(堂前氏)。

エリアメールや緊急速報メールの送信には、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)という通信方式が使われている。エリアメールと緊急速報メールで配信される情報は、いわゆるJアラートだけではない。緊急地震速報や自治体防災情報も配信される。
では、格安スマホはエリアメールと緊急速報メールを受信できるのか。堂前氏は「格安スマホ(MVNO)契約者であってもエリアメールと緊急速報メールの信号は受信している」という。ただ、エリアメールと緊急速報メールはあくまでキャリアの契約者向けのサービスなので、MVNO利用者はサービスのターゲットに想定されていないと思われる。ただ、「ETWSの仕様上、MVNOを契約しているユーザーにも信号が届いている」(堂前氏)と解釈できるという。
では、なぜ警報が鳴らない格安スマホがあるのか。エリアメールと緊急速報メールが届くかどうかは、信号の種類と使っている端末によって決まるという。iPhoneや、MVNO契約でも大手キャリア(MNO)が販売したスマホを使っている場合は、特に問題なく警報が鳴る。ただし、SIMロックフリースマホの多くは、自治体防災情報やJアラートが出た場合に警報が鳴らない。

なぜSIMロックフリースマホは、警報が鳴らない機種が多いのか。それは、エリアメールと緊急速報メールを配信するETWSに理由があると堂前氏は言う。「ETWSには“メッセージID”というものがあり、緊急地震速報は標準IDが決まっている。ところが、自治体防災情報、Jアラートについては、ETWSの規格としてIDが決まっていない。各キャリアが独自のIDを付けて配信している」(堂前氏)
IIJが独自で調査したところ、ドコモは地震、津波に関しては標準IDを使っているが、それ以外では別のIDを使っていると思われる。詳細不明な情報については、SIMロックフリー端末で受信できないものがあるようだ。