ル・モンド誌
https://jp.mondediplo.com/2013/07/article618.html
社会保障費の不正受給の真の問題点
「生活保護費の不正受給」。日本固有の現象かと思ったらとんでもない、フランスでも大問題になっているようだ。ここ数年、各国の財政上の悪化と共に浮上してきた問題のようである。言いかえると、不正受給者いじめに熱中するというのは、どうも国民性の問題ではないらしい。
不正受給者=社会の癌?
「社会保障の不正受給。わが国経済を悪化させるこの国民的厄災」。「税金、社会保障、失業の負担を国民に押しつける不正受給者」。「『社会保障不正受給者』たちがフランスを破産させる」。「途方もない不正行為。社会保障予算から横領された150億[ユーロ]を調査せよ」。
「生活保護者で溢れるフランス。『手当』が働く気を失わせる」等々。社会保障の正当性を覆す最良の手段は、社会保障が「ざる」に似ているとほのめかすことだ。不正受給者たちは広すぎる隙間を簡単にかいくぐる。彼らの寄生根性のせいで、最後には国民の連帯の証であるはずのものが国家の危機を招来することになる、というのだ。
2011年5月8日、元ヨーロッパ問題担当大臣ロラン・ウォキエ氏は、《ヨーロッパ1》での放送中にためらうことなく言った。「困窮者援助制度」は「フランス社会の癌」であると。(容赦なき!)結論として、フランスを守るためには不正受給を摘出することが必要であり、不正受給を摘出するには社会保障を受ける権利を削り取ることが必要になるということだ。