裏アカを使って自分を誹謗中傷。 子どもの「デジタル自傷」について知っておくべきこと(ハフポスト日本版)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e63c8105bd2875d717f13dd3dc1f5ffe1d7625e7
2013年、イギリスで14歳のハンナ・スミスさんが自殺した。
彼女の父親はその後、スミスさんがネット上でいじめを受けていたことをメディアに語った。
スミスさんの家族に起きた悲劇は、ネット上のいじめ行為などを取り締まるため、ソーシャルメディアの規制強化を求める声を高めた。
しかしその数日後、意外な事実が発覚した。
スミスさんがいじめを受けていたオンライン・プラットフォームが、問題のメッセージの多くがスミスさん自身のIPアドレスから送信されており、彼女自身がそれらを送信したと示唆するコメントを発表したのだ。
自分自身を傷つける内容をネット上で匿名で投稿するなどの行為は、研究者や心理学者の間で「デジタル自傷行為」と呼ばれており、近年、問題意識が高まっている。
7月には、デジタル自傷行為を行う10代の若者と、希死念慮を抱いたり自殺を図ったりすることの間に関係性があるという研究結果が発表された。デジタル自傷行為をおこなった10代の若者は、希死念慮を抱く確率が5~7倍、自殺を図る確率が9~15倍高かったという。
ここに必ずしも因果関係があるわけではない。デジタル自傷行為によって10代の若者が希死念慮を抱くのか、希死念慮が自傷行為を引き起こすのかはまだ不明だ。
この研究の主執筆者で、ウィスコンシン大学オークレア校で刑事司法部教授をしているジャスティン・パッチン氏はハフポストUS版に、「どちらが先かはまだわかっていません。ただ、関連性があるのは確かです」と述べた。
スミスさんの事件にショックを受けたパッチン氏は事件以降、同僚と共に10代の若者のデジタル自傷行為に関する研究をいくつか行っている。
「デジタル自傷行為とは、個人が匿名のオンラインアカウントを作成し、それを使って自分を傷つけるメッセージや脅迫をみんなに見えるように送ることです。ヘイトメッセージや脅迫といったものが一般的で、より極端で珍しいタイプのネットいじめです」とパッチン氏は説明する。
一般的にネットいじめと呼ばれるものとの違いは、いじめの加害者と被害者が同一人物という点だ。
2017年にパッチン氏が10代の若者5500人以上を対象に実施した調査では、約6%が自身に対してネットで悪質な投稿をしたと報告している。男性は7.1%で女性の5.3%よりも高く、過去にいじめやネットいじめを受けたことのある人や、LGBTQを自認する人の間でも確率は高かった。
(後略