増水した鴨川(京都市下京区)で流された小学5年の男児を、泳いで救助したなどとして、京都府警下京署は8日、大学生の男女計3人に感謝状を贈った。「溺れる」「助けて」との叫び声に反応したとっさの行動が、男児の命を救った。
下京署によると、7月21日午後6時ごろ、鴨川の塩小路橋付近の河川敷で、友達と2人で川に足を付けて遊んでいた小学5年の男児が、足を滑らせて川に落ち、流された。友達が「溺れる」などと叫んでいた。
河川敷をジョギング中だった滋賀医科大4年の住友有由司(ゆうじ)さん(25)は、声に気付いて川を見た。「首ぐらいまで水につかった男児が、『助けて』と言いながら流されていた」
住友さんは、すぐに服を着たまま川に入った。水深は住友さんの胸付近まであった。10メートルほど泳ぎ、男児を抱きかかえ、岸辺まで引き上げた。
同じ頃、自転車で橋を渡っていた京都美術工芸大2年の山本珠羽(しゅう)さん(19)と森野みのりさん(18)も、男児のSOSを聞いた。川を見下ろすと、男児が流されていた。自転車と荷物を橋の上に置いて、助けにいこうと河川敷へ向かった。
山本さんと森野さんが現場に着くと、住友さんが男児を引き上げたところだった。山本さんらは、急いで警察と消防に通報した。男児は20~30メートル流されていたが、けがはなかったという。
8日に下京署で感謝状の贈呈式があった。外科医を目指す住友さんは「ためらわずに川に入ってよかった」と話した。救助後は警察などに事情を説明した後、再びジョギングでその場を離れたといい、「ぬれた服は走って乾かしました」。山本さんは「川は普段より濁っていて増水していた。ちゅうちょせず助けにいった自分の行動に、自分でびっくり」と振り返った。
森野淳署長は「暑いシーズンは水難事故がたびたび起こる。慌てず勇気を持って助けてもらい感謝を申し上げる」とねぎらった。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/880704