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抗議の発端は、同美術館の責任者が「多感な若者を刺激する作品を展示することには反対」と述べ、女性がバナナを食べる映像作品を撤去するよう指示したことだった。
「多感な若者を刺激する」
問題となっているのは、ポーランド出身の女性アーティスト、ナタリアLLが、共産主義体制下の1973年に発表した映像作品とその静止画群。
裸の女性モデルが性的な行動を連想させる仕草で、バナナを食べたり、舌を動かしたりする様子が捉えられている。
作品は「コンシューマー・アート」と題され、「大衆文化において、性的なモチーフが消費活動と結びつけられてきたことを指摘している」とされる。
ロイター通信によると、撤去を指示したワルシャワ国立美術館の責任者は、地元紙の取材に「多感な若者を刺激する作品を展示することには反対だ」とコメント。
こうした美術館の姿勢は検閲だと抗議し、「#bananagate」や「#bananaselfie」などのハッシュタグにバナナを食べる写真を投稿する人が相次いだ。
撤去に抗議したフォトグラファーのJustyna PiechutaさんはCNNの取材に、こう話した。
「この時代に、セクシュアリティやアートに対する誰かの主観で作品の展示を禁じられるなんて、想像もできません。
ナタリアの作品はフェミニズムとしての視点があると思いますし、作品に登場するバナナも自由の象徴だと思います」
美術館は抗議を受け、5月6日までは作品の撤去を取りやめることを発表。6日以降は美術館全体の「配置換え」のため、撤去されることになるという。
ポーランドでは、カトリック司祭らの支持を受ける右派政党の「法と正義」が政権を握り、カトリック的な宗教観や当局に対して挑戦的な内容を展示するアートフェスティバルや博物館への補助金を打ち切るなど、
アートに対する政府の干渉をめぐって議論が起きている。
今回の問題でも、美術館が政府の指示を受けて撤去を決めたのではないかという憶測が広がっていた。しかし、責任者は「決定は全て専門家の意見を聞いた上で、個人的に下した」と説明したという。