音楽評論家・田中宗一郎と映画・音楽ジャーナリストの宇野維正が旬な音楽の話題を縦横無尽に語りまくる、音楽カルチャー誌「Rolling Stone Japan」の人気連載「POP RULES THE WORLD」。
2018年12月発売号の対談では、ラップやブラック・カルチャー全盛の時代における、白人のアーティストの現状や彼らに求められているものについて、宇野が解説している。
宇野:ポップミュージック全般で今年一つ顕著に表れた傾向としては、『グレイテスト・ショーマン』『ボヘミアン・ラプソディ』『アリー/ スター誕生』と、ラップ以外のアルバムのメガ・ヒットがほぼ映画絡みっていうことですね。
その一方では、トム・ヨークやジョニー・グリーンウッドを筆頭に、バンド出身、もしくはバンド在籍中のミュージシャンが映画音楽家として足場を固めつつあるという状況もある。
つまり、白人のミュージシャンは音楽と映画の境界線上にその活路を見出している。レディー・ガガの復活も含めて、それはネガティブな文脈でとらえるべきことはなくて、「その方法があった!」っていうことですよね。
『クリード 炎の宿敵』のサントラはマイク・ウィル・メイド・イットがプロデューサーを務めて、錚々たるラッパーが勢揃いしているわけだけど、
そこでメイン・テーマを手がけているのはボン・イヴェール。テーム・インパラやジェイムス・ブレイクが相変わらずプロデューサーの一員やネタ元としてラッパーたちから重宝されているのもそうだけど、
白人の一部のミュージシャンは映画やラップと交わることによって存在感が高まっている。
だから、今年もカーディ・Bと一緒にやったりしていたマルーン5みたいに流行に擦り寄るのも一つの手だけど、むしろ向こうから必要とされる場所にいるっていうことが重要なんじゃないかと。
田中:「外部としてのロック」が求められてるってことだよね。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190131-00029891-rolling-musi