文在寅大統領誕生に歓喜した韓国の若者、日本へ出稼ぎを検討
ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との橋渡しの役割ばかりが最近、
目立つ文在寅・韓国大統領。大統領選挙のときに掲げた十大政策ひとつめは、
雇用革命により、雇用率を70%にあげ、非正規職を現在の半分にすることだった。
韓国の若者の多くが彼を支持したのには、自分たちの苦しい境遇を終わらせる期待が大きかったと言われている。
ところが、大統領就任後の文氏がもっとも夢中なのは、北朝鮮問題だ。
ライターの森鷹久氏が、裏切られた韓国の若者たちの行き場のない思いをレポートする。
2017年の韓国大統領選挙では、親北朝鮮とされる革新派の文・現韓国大統領が選出され、
韓国国内には「何かが変わる」という機運が漂った。ミニョンさんの友人も、
週末にソウルで行われていた朴槿恵・前韓国大統領や当時政権だった保守派政党に対する
反対デモに参加し、文大統領の誕生を心から願い、当選の際には涙を流して歓喜した。
もちろん、文候補(当時)は、若者の失業対策にもしっかり取り組んでくれるだろう、
という希望的な観測があったからだ。
「文大統領は北との会談など、歴史的なことをしっかりやってくれています。
でも、若者の雇用状況は全く改善されるどころか悪化の一方。選挙の時はお祭り騒ぎでしたが、
その後は北の問題でまた国じゅうがお祭りに。結局今も昔も経済についての具体的な話はなされないし、
お祭り騒ぎに酔いしれているだけ。その繰り返しなんじゃないか」(ミニョンさん)
誰もが国の経済を、そして自分の生活を不安視していた。
しかし、選挙や南北会談といった熱狂の中でそうしたネガティブなことを言い出せる状況ではなかったのかもしれない。
たとえ重要な事実であっても熱狂する人たちの勢いを弱めるようなことは言ってはならない、
そういった文化が母国にはあると話すミニョンさん。
とはいえ、韓国の高級紙である朝鮮日報も今年に入ってから、南北会談などを大きく取り上げる一方で、
こっそり「不況・廃業により三か月で32万人が職を失った」「韓国国民がついに経済を心配しだした」などと報じ始めている。
大卒者の就職率は依然として7割を切り、全体の失業者数も増えている。
仕事があったとしても低賃金重労働。日本でいうところのブラック企業が増加し、
国民の不満が溜まらないほうがおかしい状況が長らく続いている。
思えばこの二〜三年、平昌冬季五輪や大統領選挙、そして南北会談と国民にとってのお祭りがずっと続いてきた。
そうした熱狂に「水を差すな」という暗黙の了解というか、無言の圧力は我が国にも存在する文化ではある。
だが、歴史的な善きことがおこなわれるのだから、苦しい思いを我慢して当然という無言の圧力だけでなく、
韓国国民が現実を直視したくない、もしくはすべきではないという雰囲気を、
これらの「お祭り」が後押ししたような格好にさえ見える。
「そもそも日本で仕事をする、日本に行きたい、ということをあまり声高に表明できない。
田舎に行くほどそう感じます。(かつて韓国を蹂躙した)日本で稼ぎたいなんて何事か、というわけです。
でも若い人たちはみな、韓国に限界を感じている。日本行きを検討している友人は一人ではありません」
https://www.news-postseven.com/archives/20180603_686287.html