大雪に住む家もなく…救ってくれた、あの女性はだれ
青木美希2018年2月16日19時21分
女性から手渡された3枚の紙。折りたたんで、大切にしまってある
男性(65)は、公園のコンクリートの地面に座り込んだ。持ち物は着替えを入れたバッグ二つ。数日前に見知らぬカップルからもらった毛布を肩にかけ、目を閉じた。
1月21日、東京都杉並区。日が暮れ、だんだんと気温が下がっていく。「この先どうなるんだろう」。寒さと心細さで、眠れなかった。
日雇いの仕事をしていたが、年とともに見つけにくくなった。家賃を払えなくなり、ワンルームマンションを追い出されたのは5日前。次第に、思うように足が動かなくなった。
「雪が降る、と天気予報で言っていました」
突然、声が聞こえた。ジャンパーを着た小柄な女性が立っていた。30代か、40代。
女性は、真剣なまなざしで続けた。
「危ないから、病院に行きますか。それとも施設を紹介しましょうか」
男性はびっくりしながら、「施設でお願いします」と答えた。「ちょっと待ってて」。女性はそう言うと、いったん立ち去った。
10分後。3枚の紙を手にして戻ってきた。そこには、ホームレスの支援団体のホームページが印刷されていた。
「これ、タクシー代に」。女性は5千円を差し出し、まもなく姿を消した。
※以下略
https://www.asahi.com/articles/ASL2B5R28L2BUTIL01C.html