【十一年前】
穂乃果(汗ばむ初夏のある日…それは南の島からやって来た)
穂乃果(5歳)「わー。これなに?きょーりゅー?」キラキラ
雪穂(3歳)「かいじゅう?」
ほの母「違うわよ。これはゴーヤー」
穂乃果「おもしろーい♪」キャッキャ
穂乃果(まだ小さかった私は、その恐ろしさを知らなかった…無数の突起に覆われた緑色の憎い奴!そう、その名はゴーヤー!)
穂乃果「にがーい」ペッ
雪穂「まずい」
ほの母「まだ穂乃果と雪穂には早かったかしら…私は結構好きなんだけど」パク
ほの父「…」シャキシャキ
【十年前】
絵里(小2)「お、おばあさま…なんかヘンなのいる!」フルフル
祖母「それはゴーヤー。お野菜よ」
絵里「овощи?」
祖母「そう。お野菜」
絵里「たべられるの…?」
祖母「んー。エリーチカにはまだちょっと早いかしら?」
絵里「エリチカ、たべられない…?」
祖母「そんなことないわよ。じゃあ、お料理してあげる♪」
ザクッ トトトトン
祖母「えーと、切ったらアク抜きをして…」
ジュー ガシャシャ
祖母「はい、できたわ♪」
絵里「わー♪これ、なんていうお料理?」
祖母「ゴーヤーチャンプルーっていうんですって」
絵里「いただきます♪」
祖母「熱いからふーふーってして、ゆっくりね」
絵里「…」ハフハフ
絵里「」プルプル
祖母「おいしい?」
絵里「にがい…」グス
祖母「あらあら…アク抜きが足りなかったかしら?」
絵里(その味のインパクトのおかげで今でもよく覚えてる…苦い思い出)
【九年前】
真姫(小1)「…」サッ
真姫「…」ヒョイ
真姫ママ「真姫ちゃん?」
真姫「あ…こ、これは…さんすうのお勉強よ!」
真姫ママ(ゴーヤーを全部よけてる…やっぱり苦手なのね)クス
【八年前】
『おかずは冷蔵庫の中にあります。あたためて食べてね』
希(小4)「…」ガチャ
希(…ゴーヤー)
パタン
希(ほのかちゃんちに行こっと)
【穂むら】
ガララ
希「こんにち…は?」
穂乃果(小3)「やだー!」
ほの母「食べないと大きくなれないわよ。ほら、おとうふとかつおぶしと一緒に食べれば平気でしょ?」
穂乃果「ゴーヤーいらない!おとうふだけ食べる!」
希「…」ピシャ
【七年前】
凛(お母さんはまだ帰ってこないし…チキンラーメン食べちゃおっと♪)
凛(小3)「何か、お野菜なかったかにゃー?」ガチャ
凛「(切った野菜の残り?)これでいいや♪」ガサ
凛「いただきまーす♪」
凛「」ブッ
凛(ものすごくマズい…こんなの入れるんじゃなかった)シクシク
【六年前】
凛(小4)「…っていうことがあって」
花陽(小4)「それって、ほとんど生だよね…」
凛「お湯は注いだよー?」
花陽「それだけじゃちょっと…ゴーヤーはいろいろな下ごしらえをしたり、しっかり火を通すことで少し苦味を抑えられるの」
凛「あんな苦いのが食べられるようになるのー?」
花陽「うん。でも苦味と一緒に栄養も減っちゃうんだって」
凛「そんなに栄養なくていいから、もっと普通のお野菜がいいにゃ」
花陽「アハハ…そうだね」
【五年前】
海未(小6)「手早く炒めてゴーヤーの栄養素は残しつつ、別の味を加えて変化をつければ良いのです!」
ジュー ガシャシャ
ことほのうみ「いただきます」
海未(にんにくと唐辛子を使いました。これなら…)
穂乃果(小6)「うえぇ…やっぱり苦いじゃん!」
海未「だ、ダメですか…」ガクッ
ことり(にんにくはもっと苦手…)シクシク
【四年前】
にこママ「ゴーヤーを育てて“緑のカーテン”を作りましょう♪」
にこ(中2)「マ…先生」
にこママ「なあに?」
にこ「ゴーヤーよりきゅうりのほうが…」
にこママ「ゴーヤーは種から育てやすいでしょ。食べられる状態の実から種が取れて、簡単に何度でも栽培できるのよ」
にこ「はあ」
にこママ「それに栄養も、いろんな野菜の中でもトップクラスの優等生よ」ドヤァ
にこ(食べられなくはないけど、やっぱりあまり得意じゃないわ…ゴーヤー)
【二年前】
英玲奈(一年)「…」シャキシャキ
あんじゅ(一年)「それ、ゴーヤーチャンプルーってやつ?」
英玲奈「ああ」モグモグ
ツバサ(一年)「ゴーヤーって苦いやつでしょ?…好きなの?」
英玲奈「悪くない。栄養もあるらしい」パク
あんじゅ「酢につけたり、塩もみすると少し苦味が抑えられるっていうけど…」
ツバサ「へー。…ひと口もらっていい?」
英玲奈「どうぞ」
ツバサ「ありがと」パク
ツバサ「やっぱり苦いわ」フルフル
あんじゅ「いや、わかってたならどうして食べたのよ…」
ツバサ「だって、統堂さんが美味しそうに食べてるから…」
英玲奈「私は好きだが」シャキシャキ
【昨年四月・音ノ木坂】
希(二年)「ゴーヤー?」
にこ(二年)「そ。中学で栽培してるやつ、増えすぎたから貰ってきたの。発芽した種!」
絵里(二年)「音ノ木坂に植えるの?」
にこ「いいでしょ?緑のカーテン♪」
絵里(苦いチョコレートなら平気だけど…)
希(ゴーヤーはあんまり得意じゃないなぁ…)
にこ「ほら、希。あんたの得意なスピなんとかで苦くないゴーヤーができるように育ててよ。何だったらメロンの実がなるようにでもいいわ」
希「いや、無理やと思うけど…」
理事長「あら、あなたたち園芸部?」
絵里「いえ、生徒会でも何か栽培しようと思って…」
理事長「そう…これは、何の芽?」
にこ「ゴーヤーです」
理事長「へえ。ゴーヤー…じゃあ、夏には収穫できるのね」
希「理事長は好きなんですか?ゴーヤー」
理事長「そうね…昔は苦手だったけど、今は結構好きよ♪」
絵里(さすが大人ね)
にこ(大人だわ…)
希(やっぱり大人の食べ物って感じやね。ゴーヤー)
絵里「水やりは終わったし…あとは何をすればいいの?」
にこ「だから、希のスピなんとかで…」
希「いや、無理やって。…歌でも聴かせたらいいんやない?」
絵里「どんな歌?」
にこ「歌ならやっぱりアイドルの」
希「いやいや、ゴーヤーは沖縄生まれの野菜やろ?沖縄っぽいのがいいんやない?」
絵里「そんなこと言われても…沖縄の音楽ってよくわからないわ」
にこ「あーろー、はー、おぃー♪」クネクネ
希「それはハワイや」
絵里「ヨーレローレロッヒーホーヤーラッヒッフーリーヨー♪」
希「それはスイス…いや、ベルギーやったっけ?」
にこ「希も何かやんなさいよ」
希「とりあえず、みんなで踊ってみたらいいんやないかな?」
のぞえりにこ「イーヤーサーサ♪」クルクル
【五月】
にこ「順調に育ってるみたいね。感心感心♪」
希「にこっちもちゃんとお世話してよ。にこっちが連れてきた子やろ?」
にこ「そうだけど、まだまだ実ができる段階じゃないし…」
絵里「水やりくらいしかすることがないわよね…」
希「よっしゃ。歌を聴かせて…」
にこ「ちょっと待って。ゴーヤーは沖縄生まれで、苦い野菜でしょ」
絵里「そうね」
にこ「ってことは…いっそ沖縄とは全く関係ない歌を聴かせたほうが、苦くないゴーヤーになるんじゃない?」
絵里「北海道の歌ならメロンの実がなるかしら!?」
希「いや、それはないと思うけど…」
にこ「そうと決まれば、歌うわよ!」
のぞえりにこ「み、ど、りーのもーりに、いーまわーきーあーがるー♪」
穂乃果(一年)「あ。希ちゃんだ…」
ヒデコ(一年)「あの先輩たち、何の部活なんだろうね?」
ミカ(一年)「さあ?…合唱部?」
フミコ(一年)「でも、植物のお世話もしてるみたいだけど…」
ことり(一年)「じゃあ、園芸部?」
海未(一年)「でも、あの歌…確か野球の」
にこ「そこの一年!」
ことほのうみヒフミ「えっ」
にこ「あんたたちも歌うのよ!」
ことり「はあ」
絵里「メロンの実がなるかどうか、私たちの歌にかかってるのよ」キリッ
希「ゴーヤーの苗だけどね…」
九人「ぼーくーらは、まってーいる♪かーがーやきのしゅんーかん」
にこ「あ・つ・く!もーえるー手で、勝利ーをーつーかーめー♪」
【六月】
穂乃果「だいぶ育ってきたね!そろそろ実がなるんじゃないかなぁ?」
海未「どうなんでしょう…中学のゴーヤーと同じ品種なんですよね?」
にこ「そ。中学で収穫したゴーヤーの種だからね」
希「ゴーヤーは実がなってからが勝負やな。育ちすぎる前にどんどん収穫しないと株から栄養がなくなっていくん」
絵里「実が緑色のうちに収穫すればいいのよね?」
ことり「でも放っておくと、すぐ黄色くなっちゃうから…」
フミコ「まだ育つかな?っていうくらいのタイミングで収穫しちゃったほうがいいかも」
ヒデコ「っていうか、まだ花も咲いてないし…」
ミカ「それで、収穫したゴーヤーってどうするつもりなの?」
ことほのうみのぞえりにこ「えっ」
穂乃果「えっと…海未ちゃんが持って帰ってお料理して食べるんでしょ?」
海未「先輩方がいるじゃないですか。植えたのは私たちじゃないのですから…」
絵里「矢澤さんが食べるんじゃないの?」
にこ「ぬぁんでよ。中学でもゴーヤー採れるんだから間に合ってるわよ。希がいるでしょ」
希「いや、ウチ一人じゃそんなには…ほら、理事長はゴーヤー好きやって言ってたし。南さんにあげるよ」
ことり「アハハ…えっと、みんなで分け合えばいいと思うけど…」
ミカ「フミコはお料理得意だよね?」
フミコ「うん。まあ…でもゴーヤーってあんまり使ったことなくて」
ヒデコ(ゴーヤーは苦いし料理にも使いこなすのが難しいから…あまり人気がないよね)
【後日】
にこ「やっとゴーヤーの花が咲いたわね」
絵里「黄色い花なのね。可愛い♪」
穂乃果「あの苦い実からは想像つかない感じですよね…」
海未「花言葉は“強壮”だそうですよ」
ミカ「きょうそう?」
希「滋養強壮の強壮や。…たぶん、花やなくてゴーヤーの実に栄養があるから、そのイメージで花言葉を選んだんやないかな」
フミコ「花は可愛らしくて強壮って感じじゃないですよね」
ことり「でも黄色には元気なイメージがあるし…穂乃果ちゃんのリボンみたいに♪」
穂乃果「ゴーヤーとおそろいかぁ…実のほうはやっぱり苦手だけど」
ヒデコ「確かゴーヤーって、葉とか茎なんかも食べられるんじゃなかったっけ…」
穂乃果「そ、そうなの!?」
ことり「初めて聞いたけど…」
にこ「…まあ、そんなの食べる必要ないくらい実がたくさん採れるけどね」
絵里「そうね…株を長持ちさせるなら茎や葉は取らないほうがいいかも」
【七月・オープンキャンパス】
ヒデコ「ゴーヤーの収穫体験、こちらでーす!」
フミコ「採れたてのゴーヤーのお持ち帰りもできますよー♪」
真姫(中3)「なにそれ…園芸部?」
凛(中3)「へー。面白そう!行こ、かよちん♪」
花陽(中3)「う、うん(私は中学でやったけど)」
にこ「…こんな感じで取るのよ。これくらいのサイズなら幾つでも採っていいからね」
凛「はーい♪」
まきぱな「はい」
凛「わあー。これ、すっごく大きいよー♪」
花陽「これくらいだと、明日には黄色くなっちゃうね…」
絵里「そうね。採っておいてくれる?」
花陽「は、はい」
海未「充分に育った実を採らずに残しておくと、株の養分を取られて…まだ小さい実が育たなくなってしまうんです」
真姫「はあ。…これはどうですか?」
ことり「うん。食べごろサイズだね♪」
穂乃果「うわぁ、いっぱい採れたね…」
フミコ「よかったらゴーヤー料理も食べていってよ♪」
凛「…ゴーヤー」
真姫「料理…?」
穂乃果「もしかして、苦手だったりする?」
花陽「えーと…私は大丈夫ですけど」
にこ「美味しいの作ってあげるから、騙されたと思って食べてみなさいよ」
希「じゃあ、トップバッターはウチやな♪」
ジュー ガシャシャ
希「ほい、ゴーヤーチャンプルー焼きうどん♪」
花陽「な、なるほど…かつおぶしと相性がいい焼きうどんとゴーヤーチャンプルーを組み合わせたんですね」
希「うん。…さ、熱いうちに食べてみて♪」
まきりんぱな「いただきます」
花陽「…おいしい」モグモグ
凛「ホントだ…普通のゴーヤーチャンプルーよりちょっと濃いめの味付けで、ゴーヤーの苦味もそんなに気にならないかも」
真姫「むしろゴーヤーがあってちょうどいいくらいね…」
穂乃果「ほ、ホントに…?」
真姫「食べてみればわかりますよ。…ほら」
穂乃果「…いただきます」パク
穂乃果「おいしい♪」モグモグ
にこ「って、あんたゴーヤー食べてないでしょ」
穂乃果「い、今から食べようと思ってたんですよ…」パク
希「ゴーヤーだけで食べたら苦いのは当たり前やん?ほかの具材と一緒に食べてみてよ」
穂乃果「あ…確かに、そこまで苦く感じないかも…やっぱりちょっと苦いけど」
海未「どっちなんですか…」
ことり「まあ、穂乃果ちゃんがゴーヤー食べられるだけでも…」
絵里「じゃあ、次は私ね。はい、どうぞ♪」
花陽「いい匂い…」
凛「これ何ですかー?」
真姫「ゴーヤーじゃないの…?」
絵里「ふふふ。ちゃんと入ってるわよ。これはпирожки」
まきりんぱな「いただきます♪」
穂乃果「ピロシキ?…って確か、ロシア料理?」
絵里「そうよ。高坂さんも食べる?」
穂乃果「…これにもゴーヤー入ってるんですよね?」
花陽「おいしいです♪」モグモグ
真姫「…確かにゴーヤーが入ってるわね」
凛「でも美味しい♪苦味も気にならないにゃ」
穂乃果「じゃ、じゃあ…私も一つ、もらっていいですか?」
絵里「ええ。どうぞ♪」
穂乃果「いただきます…」パク
穂乃果「あちち…」ハフハフ
絵里「どうかしら?」
穂乃果「すっごく美味しい!」モグモグ
にこ「ちょっと。あんまり食べ過ぎないでよ?まだ私たちのがあるんだから」
ことり「みんな、まだ食べられる?」
花陽「まだまだいけます♪」
凛「凛も大丈夫にゃ!」
真姫「あと少しくらいなら…」
にこ「じゃあ、次はこれよ!」
凛「わあー!ラーメン♪」
花陽「ゴーヤーが入ってるけど」
凛「え」
『何か、お野菜なかったかにゃー?』
凛(ゴーヤーとラーメンって…)ヒヤアセ
真姫「おいしいわよ」シャキシャキ
凛「ほ、ホント…?」
花陽「うん。美味しい♪」trtr
凛「い、いただきます」ズ…
凛(…濃いめの味付けの味噌ラーメンだね。かつおだしのスープ…美味しい)
凛「…」パク
真姫「ゴーヤーにもしっかり味がついてる…」
花陽「苦味も気にならないね」シャキシャキ
にこ「炒めたゴーヤーに市販の味噌ラーメン用スープをからめて、味噌炒めにした物に上からダシをかけてスープにしたの」
凛「なるほどにゃ…すっごく美味しい!」
ことり「甘い物はどうかなぁ?」
花陽「え?…まさか」
ことり「ゴーヤー入りチーズケーキ♪」
真姫「ヴェぇ…イミワカンナイ」
穂乃果「どうしてそこ組み合わせちゃったの…」
ことり「美味しいよ?これは私が作ったけど、ゴーヤーのチーズケーキって普通に売ってたりするんだよ」
花陽「そ、そうなんですか…?」
【西木野邸】
真姫(お腹いっぱいだから持って帰ったけど…)
真姫ママ「美味しいわね♪…これ、誰が作ったの?」
真姫「え。…あ、音ノ木坂の先輩だけど…」
真姫ママ「ゴーヤーとチーズケーキって合うのね♪」
真姫(…まあ、好みは人それぞれだし)
【7月22日】
こころ「お誕生日おめでとうございます。お姉さま♪」
ここあ「おねーちゃんおめでとー♪」
にこママ「おめでとう。にこ♪」
にこ「あ、ありがと…それ」
にこママ「久しぶりにケーキ作ってみたんだけど…」
にこ「ゴーヤーのレアチーズケーキ…もしかして、南ことり?」
にこママ「あら。あの子、にこのお友達なの?」
にこ(…やっぱり)
にこママ「去年あの子が言ってたのよ。ゴーヤーのチーズケーキがあるって…せっかくゴーヤーがたくさん採れるんだから自分で作ってみようと思って♪」
ママこころあ「はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
ここあ「にがーい」ペッ
こころ「(ゴーヤー以外は)美味しいです♪」
にこ(結構おいしい…)シャキシャキ
ここあ「へんなかたちー」キャッキャ
にこ「こら。食べ物で遊ばないの」パク
【八月】
穂乃果「うーん…暑い…」
雪穂(中2)「お姉ちゃん」グイ
穂乃果「んぅ…雪穂…やめてよー」
雪穂「うりうり」グイグイ
穂乃果「もー。何なの…って、この感触…まさか」ギュ
穂乃果「うわ…ご、ゴーヤー」
雪穂「ニガウリだけに…うりうり」グイグイ
穂乃果「や、やめてよー><」
雪穂「お姉ちゃんったら、高校生にもなってゴーヤーも食べられないの?」
穂乃果「食べられないわけじゃないもん。先輩たちが作ってくれたゴーヤー料理は食べたし…」
ことり「そうだよね…穂乃果ちゃんは、もうゴーヤー食べられるよね」
海未「では食べてもらいましょう」
穂乃果「えっ」
ことり「お誕生日おめでとう、穂乃果ちゃん。はい、ゴーヤーのチーズケーキ♪」
海未「私からはゴーヤー入り餃子のプレゼントです。ゴーヤー炒飯もありますよ」
穂乃果「い、いや…食べられなくはないってだけで、別に好きじゃ」
ヒデコ「はい、ゴーヤーのサラダ」
フミコ「ゴーヤーチップス」
ミカ「ゴーヤーのお刺身だよ♪」
穂乃果「お刺身って…それただ切っただけのゴーヤーじゃん!」
ほの母「食べなさい穂乃果」
理事長「あなたが毎日ゴーヤーを食べ続けなければ、音ノ木坂は廃校です」
絵里「もっとゴーヤーを食べるべきよ」
希「ほら、早くゴーヤー食べて!」
にこ「さっさと食べなさい。あと三十個!」
穂乃果「ひえぇ!?そんなに食べられないよー!」
みんな「ゴーヤー食わすよ!」
穂乃果「いーやーだー!><」
「…ちゃん。お姉ちゃんってば!」
穂乃果「うーん…そんなに…食べられないって…」ムニャムニャ
雪穂「うわー。ベタな寝言…起きてってば。お姉ちゃん」ペチペチ
穂乃果「ふぇ…あ、あれ?…雪穂」
雪穂「いつまで寝てるの。ことりちゃんたち来たよ」
穂乃果「ことりちゃん…?」
『穂乃果ちゃんは、もうゴーヤー食べられるよね』
穂乃果「ご、ゴーヤーのケーキ!?」ビクビク
雪穂「は?…なに言ってんの、お姉ちゃん…まだ寝ぼけてる?」
穂乃果「え?…あ、あれ?」
フミコ「穂乃果ちゃん。お誕生日おめでとう♪」
ことり「みんなでケーキ作ったんだ♪」
にこ「あと、パン好きだって聞いたからパンも作ってみたわよ」
穂乃果「ゴーヤーが…入ってない」
絵里「ゴーヤー?」
希「ゴーヤー食べたかったん?」
穂乃果「い、いや…そんなことないけど」
フミコ「えーと…これも一応作ってみたんだけど」
穂乃果「ゴーヤー!?」
ヒデコ「ゴーヤーをスライスして作ったゴーヤーチップスだって」
海未「苦味もあまりないですし、穂乃果でも食べられると思います」
穂乃果「へー」パク
サクサク
穂乃果「あ…ホントだ。おいしい!」
フミコ「ふふふ。ゴーヤー好きになってくれた?」
穂乃果「え、えーと…まさか、お刺身はないよね?」
ミカ「お刺身?」キョトン
ことうみのぞえりにこヒフミきぃゆき「はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
穂乃果「えへへ。みんな、ありがとー♪」
【今年四月】
理事長「廃校」
穂乃果「音ノ木坂のいいところをアピールして、入学希望者を増やせばいいんだよ!」
海未「たとえば?」
穂乃果「ゴーヤーがいっぱい採れる!」
海未「ほかには?」
穂乃果「ほかに!?…えっと、ゴーヤーの花もキレイ!」
海未「ゴーヤー以外にないんですか…」
穂乃果「ことりちゃーん!」
ことり「みんなでゴーヤーを育てるの、楽しいよね♪」
海未「そもそも音ノ木坂のゴーヤーの種は中学校で収穫したゴーヤーから採った物ですし…」
穂乃果「そうだね…どんどん増えるから、音ノ木坂じゃなくてもできるもんね」ハァ
ことり「でも、いろんな植物を育てられる広い敷地があるのはいいことだと思うけど…」
にこ「高坂!」
穂乃果「あ。矢澤先輩…」
にこ「今年もやるわよ!」
穂乃果「ゴーヤーの種まき?」
にこ「そ。去年収穫したゴーヤーから採れた種を発芽させた物よ」
ことり「この小さな種から、あんなにたくさんゴーヤーが採れるんだね…」
海未「不思議ですね…どこまで増えていくんでしょう?」
穂乃果「東京じゅうが“緑のカーテン”で覆われるくらいになるのかな!?」
にこ「東京どころか、地球全体をゴーヤーで埋め尽くすことだってできるわよ」
穂乃果「うわぁ…なんか空気まで苦くなりそう」
【翌朝・秋葉原】
凛「行っくにゃー♪」
にこ「ちょっ…本気!?」
花陽「り、凛ちゃん…待ってよぉ」
穂乃果(ここがUTX…でも勝手に入っちゃっていいのかな?)
にこ「こんなの持ってたら絶対怪しまれるわよ…」
凛「先輩のかっこうが一番怪しいと思うけどにゃ」
にこ「変装くらい常識でしょ。私たちはUTXの生徒じゃないんだから」
穂乃果「余計目立つと思うけど…」
花陽「で、でも…どこへ行けばいいのかな?」
「あら。何か探してるの?」
穂乃果「ゴーヤーを植えられる場所です!」
「…ゴーヤー?」
花陽「って…あ、あなたは…」
にこ「ツバサ!?」
ツバサ「ごきげんよう…あなたたち、今ゴーヤーって…」
凛「はい。凛たち、ゴーヤーの種を持ってきたんです♪」
穂乃果「もう芽が出てるから、土に植えるだけでいいんですけど…」
ツバサ「ゴーヤーなんて植えてどうするのよ…あれってすごく苦いし、みんな嫌いでしょ?」
花陽「私は好きです…」
穂乃果「昔は苦手だったけど…料理の仕方によっては美味しいですよ。ゴーヤー」
凛「ラーメンにも合いますよー♪」
ツバサ「えぇ…そうは思えないわ。料理っていうけど、じゃああなたはゴーヤーを美味しく料理できるの?」
にこ「できるけど…」
「ツバサ。…お客さん?」
「君たちは…音ノ木坂の生徒か」
にこ「あんじゅと英玲奈まで…」
花陽「あ、A-RISE…」ドキドキ
凛「あ。いけない、遅刻しちゃう!」
穂乃果「とりあえず、これ…日当たりのいいところに植えてください!」
あんじゅ「なあに?」
英玲奈「ゴーヤーの種のようだな…芽が出ている」
凛「ほら、行くよ。かよちん」グイ
穂乃果「矢澤先輩も」ギュ
にこ「ああっ、せめてサインを──」
花陽「握手…じゃなくて、写真──」
ズルズル
あんじゅ「行っちゃった…何しに来たのかしら?」
英玲奈「この種を届けに来たようだが…」
ツバサ「ゴーヤーなんて貰っても…どうするの?」
英玲奈「せっかくだから育ててみよう。地植えは無理だが、プランターなら何とかなる」
あんじゅ「ふーん。ゴーヤーねえ…」
サァァァ…
英玲奈「一日二回、たっぷり水をやると良いそうだ」
ツバサ「本当に育てるの…?」
英玲奈「比較的簡単によく育ち、うまくいけば夏にはたくさん収穫できるらしい」
あんじゅ「ゴーヤーなんてそんなにたくさん食べないわよ」
英玲奈「二人とも、いい機会だから好き嫌いを克服したらどうだ」
あんツバ「えぇ!?」
英玲奈「花も咲くだろうし、大切に育てれば愛着がわいて、より美味しく感じるかもしれない」
ツバサ「そうかしら…ゴーヤー自体を美味しいと思ったことないけど」
あんじゅ「料理はできなくはないけど、クセが強くて何にでも合うわけじゃないし」
英玲奈「まあ、とりあえず育ててみて無事に収穫できたら、その先のことを考えればいいさ」
【五月】
英玲奈「だいぶ伸びたな」
あんじゅ「順調に育ってるわね」
ツバサ「種から芽が出て、花が咲いて実をつけて…また種が採れるのね」
英玲奈「どこまでも伸びて、増えていく…いつでもどこでも踊りだす沖縄の人々のようだ」
あんじゅ「そうなの?」
ツバサ「そうだ!」
えれあん「えっ」
ツバサ「これよ!新曲ができそうだわ♪」
【七月】
\ダイスキ♪/
ツバサ「μ'sが九人になったんですって」
あんじゅ「へー。あの子たちも頑張ってるのね」
英玲奈「では私たちも頑張るとしよう」
ツバサ「…これ、全部採るの?」
英玲奈「大きく育った実だけでいい。残しておくと株の栄養を取られて、まだ小さい実が育たなくなってしまう」
あんじゅ「私に使いこなせるかしら…ゴーヤー」
英玲奈「ツバサは料理はできないのか?」
ツバサ「で、できないんじゃなくて…あんまりしないっていうか」
あんじゅ「全然できないわよ。ツバサは」
ツバサ「そ、そんなことないってば。…サラダとか」
英玲奈「ゴーヤーのサラダ?」
あんじゅ「ツバサ、食べられるの?」
ツバサ「いや、私はちょっと…」
あんじゅ「食べられる物ができないんじゃ、料理ができるとは言えないわよ」
ツバサ「だって、ゴーヤーなんて何したって苦いし…」
英玲奈「調理の仕方によってはほとんど苦味を残さない方法もある。…ただ、栄養素も失われてしまう」
あんじゅ「んー。…あ、これなんていいかも」
ジュワー パチパチ
ツバサ「…なにこれ?」
あんじゅ「ゴーヤーチップスよ」
ツバサ「これってゴーヤーそのものよね?」
あんじゅ「そうだけど…美味しいわよ」パク
英玲奈「これはこれで悪くない」サクサク
ツバサ「えぇ…」
あんじゅ「食べてみなさいって。はい、あーん♪」
ツバサ「うぅ…」パク
ツバサ「あ、あれ?…苦くない」サクサク
あんじゅ「これでゴーヤーの栄養素って摂れるのかしら?」
英玲奈「わからないが…いろいろ作ってみればいいんじゃないか」
ツバサ「ま、まだゴーヤー食べるの?」
英玲奈「ああ。ゴーヤーはまだまだ採れるし…よく育った物からどんどん収穫して、早めに料理して食べたほうがいい」
あんじゅ「私たちだけじゃ食べきれないわよ」
ツバサ「そ、そーよ。こんなにたくさん…どうするの?」
英玲奈「ふむ。知り合いに御裾分けでもするか…」
あんじゅ「知り合い?」
【高坂家】
雪穂「お姉ちゃーん。これ、お姉ちゃんの?」ドサ
穂乃果「わ。大きな荷物…何が入ってるのかな?」
雪穂「ゴーヤーって書いてあるけど?」
穂乃果「」
おわり
つまらん
スレタイにNG推奨とか付けてくんねーかな?