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棒針、かぎ針、ゆび編、一本針、アフガン編、機械編、レース編etc.
編物に関する話題ならなんでもオケー
初心者も、中級者も、上級者も仲良く編物について語りましょう。
前スレ
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http://2chb.net/r/craft/1515311170/ ※質問は質問スレへ
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http://mint.2ch.net/test/read.cgi/craft/1478149172/ 関連スレ、参考サイトは
>>2-4あたり
●手編みのプレゼントについて。良い悪いと、人それぞれ受け取り方が違います
荒れる原因になりますので【手編みを贈ることについて】の話は控えましょう
●公共交通機関での編み物についての話題はスレが荒れる原因になるので 控えましょう
※禁止している路線あり・各自の状況に応じ自己責任において判断しましょう
●図書館の話について 荒れることが多いので控えましょう
●個人のブログについての話は禁止(板のルールです)
●次スレは
>>970を踏んだ人が立ててください
VIPQ2_EXTDAT: checked:vvvvv:1000:512:----: EXT was configured
@2004年11月にに近畿財務局が、兵庫県伊丹市の不動産会社に売却した約2000uの国有地(金額不明)から売却後に地中からコンクリート片やヒ素などが確認された。
会社は契約を破棄し賠償を求めて提訴。国側が11年2月に約2100万円の損害賠償を支払った。
A2007年5月に近畿財務局が、滋賀県の不動産会社に約30億円で売却した大津市のJR湖西線唐崎駅前の土地(約3万u)から、環境基準を大幅に上る有害物質が検出された。
翌年11月に財務局は契約を破棄し、工事費などの賠償に応じたものの、賠償金額は明らかにしていない。
(西宮市と大津市の土地は今も売却できていない。)
B2010年3月に近畿財務局が豊中市に約14億2300万円で売却した土地(約9500u)からも廃棄物が見つかった。
国土交通省と内閣府から補助金計約14億円が出て、市は実質的に2300万円で買った。
その後のヒ素や鉛の土壌汚染も判明。近畿財務局側が土で覆う費用として約2300万円を支払う。これで実質0円で豊中市は土地を得たことになる。
C新関西国際空港株式会社が豊中市に7億7700万円で売却した給食センター用地(約7200ku)の土地からも、後になってアスベストなどを含む多数のガレキが埋まっていた。
見積もられた撤去費用14億3000万円。
D、近畿財務局が森友学園と最初にとりまとめた契約は
1.7年から10年めどに森友学園は時価約9億円で買い取る。
2.それまで賃料は2730万円/年。
なので、8770kuの土地を仮に最短7年として、
2730万円×7年+9億円=合計10億9110万円で収得することになる。
◇◇◇◇◇◇◇
で、@からDを比べると
@は売却価格が分からないので除外
AのJR湖西線唐崎駅前は、売値約1億円/u。坪当たりだと約3万3百円
B野田中央公園は、売値約14億98百万円/ku。坪当たりだと約45万4千円。
Cの給食センターは、売値約10万8千円/u。坪当たりだと約3万27百円
Dの森友学園は、売値約12万4千円/uの売値。坪当たり約3万75百円。
Bの全額値引きされる前の野田中央公園の坪当たり単価約45万4千円と、Dの森友学園の坪当たり単価約3万75百円だけを並べると、森友は10分の1以下の安値で、成る程『ソンタク』されているようにも見える。
しかし、Bの野田中央公園を外し、ACDだけで比べると、
JR湖西線唐崎駅前は坪当たり約3万3百円。
給食センターは坪当たり約3万27百円
森友学園は坪当たり約3万75百円。
大体三万円台だ!!
つまり、売れない国有地の相場は約三万円台。
なのに、野田中央公園だけが突出している!!
最初から地面の下に廃棄物が埋まっているのを知りながら、野田中央公園への約14億円補助金目当てで、わざとべらぼうに高い土地評価額を設定していたとも考えられるではないか!?
つまり、補助金不正受給はじめ、当時の民主党支援者らを含む何らかの大がかりな不正があったと考えられる。
マジックには例えば大袈裟な動きでもって右手に観衆の注意を引き付けて、その間に左手でタネを仕込む。
日本は米国によって焼夷弾や原爆という人道を無視した形で無差別に大量虐殺された。
その負い目のある米国は、東京裁判で南京大虐殺をでっち上げた。
そして中国は新疆ウイグルやチベット、自民族の法輪功の弾圧や天安門事件では大量に殺戮した負い目から未だに南京大虐殺を自国民に吹き込む。
韓国はベトナムでの殺戮やレイプへの批判をかわすためにも慰安婦をでっち上げる。
自分たちの犯罪を隠蔽するため、あろうことか自分たちの行いを、被害者のせいにする。
後ろめたいからだ。
1乙
最近検索して棒針編みでフランス式とアメリカ式があるって知ったよ。
自分はフランス式。
模様編みとかアメリカ式の方がかっちり編めるからいいらしいけど、一目一目棒針に引っ掛けながらだと面倒だなと思った。
でも思い出すと小学生のころ初めて棒編み始めた時はアメリカ式だったな。
手が小さいからフランス式だと上手く編めなかったんだね。
アメリカ式だと手間がかかるから子供ゆえ途中で飽きちゃって作品完成できなかったよw
大学生になって彼氏に手編みグッズをプレゼントというのが周りで流行ったので自分も10年ぶりぐらいに始めた。
その時からフランス式に自然となった。
フランス式だと早く編めるから最後まで編めるようになったよ。
日本の主流はフランス式?
子どもの頃母に教わってからずっとアメリカ式
最近になってフランス式にチャレンジしたけど慣れてるアメリカ式に戻った
フランス式は表はそこそこ編めるけど裏編みになるとスピードが落ちる
自分の知ってる範囲だと
本などから独習→フランス式
家族から習った→アメリカ式
な印象
私が小学生の頃、自宅で近所のおばさんたちが編み物持ち寄って母を中心にたびたびお茶してて、
そのメンバーのアメリカ式で編む美人な奥さんがいた。
それ以降アメリカ式の人に会ったこと無いので、アメリカ式=美人、というイメージになってしまったw
なので
>>12-13は美人。
編み込み模様の時は両手に糸をかけてアメリカ・フランス両方使って編むわ。
糸のテンションあわせるのが難しいけど。
>>20 あー、ソレ!練習したけどなかなか上手く編めないんだよね。
人の見てるとなんだかできそうなきがするんだけどな。
普段はフランス式のブス
>>21 自分はヤーンガイド使ってフランス式でやってみたり→片方の糸が緩んでいちいち持ち直すのが面倒
アメリカ式でやってみたり→編む速度が遅くなるしもともと手が固い方なので編地がきつくなる
したけどうまくいかなくてやってるんだよね…。
「おばあちゃん式」っていうのはどうなん?
フランス式の変法みたいだけど
美人かどうかはともかくアメリカ式は少数派ってこと?
ちゃんと習ったことはなくてワークショップには何度か参加したことがあるけど、あんまり気にしたことなかった
一度ものすごく手の早いフランス式の人がいて、教える先生さえ少し驚いてた
熟練すれば早く編めるのはやっぱりフランス式なのかな
その人は編み目もきれいだったけど
アメリカフランスよりも、指にかけてる糸をパカパカ上下させて編む人になんか憧れるw
自分がやったら指つるw
アメリカ式派
裏編みがさくさくいかなくて輪針を覚えて楽になったわー
動画見てると糸の掛け方も針の持ち方もほんと色々だね
自分は左手に糸かける派だけどよく基礎本に載ってるみたいに優雅に人差し指を立てて糸を長く張って編むのは無理だ
ポルトガル式なので変態でいいです
ブスとか美人とか面倒ですし
三國万里子さんがアメリカ式で編んでいて動画で見たらめっちゃ早かった
>>28 ちょっとぐぐってきたけど、意外と編みやすそうだね
編み込みの時とかどうするんだろうか
私の編み方は左手の中指が疲れるんだけど、ちょっと前すてハンでマルティナさんが
左手の人差し指に糸を巻いて編んでるの見て、たまに編み方変えると指にもいいかもなって思った。
私もフランス式で糸がゆるまないように人差し指に何回か巻いている
気仙沼ニッテイングが美の壺で映った時も人差し指に巻いている人がいたな
そして、亡くなった旦那さんのセーターをほどいて編み直すと言っていた人の着ていたアランのカーディガンは三國さんのパターンぽかった
【注意】
ここは自治荒らし飯山が自演でワッチョイつきにした不適切なスレです
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>>1 お前の妄想ばかりの荒らしスレ乱立楽しいか?
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http://2chb.net/r/craft/1521048057/ 【注意】
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>>1 お前の妄想ばかりの荒らしスレ乱立楽しいか?
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★編物総合スレッド★75玉目
http://2chb.net/r/craft/1521048057/ "「車いすの天才科学者」ホーキング博士、76歳で死去"
[13日]
「車いすの天才科学者」として知られる英宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士が76歳で死去した
英通信社プレス・アソシエーションが家族の代理人の発表として伝えた
ホーキング博士は、広大な宇宙のなぞや、時間の始まりと終わりの解明につながる量子重力理論を研究
その研究は宇宙創成からタイムトラベルの可能性、ブラックホールのなぞに至るまで多岐にわたる
このずば抜けた知性の持ち主は21歳のとき、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症
人生の大半を車いすで過ごした
体調が悪化すると、音声合成装置を使ったり、眉を動かしたりしてコミュニケーションをとっていた
病気により、さらに研究に没頭し、2度の結婚も失敗に終わったと、ホーキング博士は、2013年に出版された自伝「My Brief History」で語っている
同自伝では、最初にALSと診断されたときの様子を次のように振り返っている
「とても不公平に感じた なぜ自分にこのようなことが起きるのかと」
「当時、私は人生が終わったと思った 現在感じているような可能性を実現することはないだろうと だが50年後の今、自分の人生が満たされていることをかみしめている」
ホーキング博士は1988年に出版した「ホーキング、宇宙を語る」が大ベストセラーになり、世界的に有名となった
同書を執筆した理由について、博士は、宇宙に関する最近の発見について自身の感動を伝えたかったからだと語っていた
「私の当初の狙いは、空港の本屋で売られるような本を書くことだった」と当時、博士はこのように取材陣に説明
「この本を分かりやすくするために、私の看護師たちにこの本を読ませてみた 大半を理解していたと思う」
*写真を更新しました
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>>1 お前の妄想ばかりの荒らしスレ乱立楽しいか??
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★編物総合スレッド★75玉目
http://2chb.net/r/craft/1521048057/ コンビニATM、手数料優遇縮む マイナス金利逆風:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28065450T10C18A3EE9000/ コンビニATMに逆風が吹いている
マイナス金利政策の余波で収益環境が厳しさを増すなか、金融機関各社は利用者にコスト負担を求め始めた
キャッシュレス化が進めばATMで現金を引き出すニーズも減り、生存競争はゆうちょ銀行を巻き込んで激化する
出店増とともに歩んできたコンビニATMは転機を迎えている
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標 先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた。
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標 先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた。
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標 先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた。。。
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
昨年まとめた経済財政運営の基本方針(骨太の方針)には、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率の「安定的引き下げ」をもう一つの目標に掲げた
経済成長を重視する姿勢だ
歳出を抑える動きはなかなか見えない
■国会で厳しく審議を
補正予算案の国会審議は「素通り」に近い
近年の通常国会をみると補正予算案が提出されてから可決・成立するまではわずか1〜2週間
約2カ月かかる本予算に比べると議論は圧倒的に短い
おまけに衆参の予算委員会では予算案の内容に関する審議は乏しい
野党は森友学園や加計学園といった政権の疑惑追及を繰り返し、一方の与党は政権のアピールにつながる質疑に一生懸命
国民から集めた税金の使い道をチェックするという当たり前の役割を果たしているとは言いがたい
財務省幹部も「予算の質問は事前の準備がかなり必要 疑惑追及ならお手軽に有権者にアピールできる」と話す
不要不急の無駄な歳出があっても、負担は国債で将来に回せる
未来より目先の選挙
議員はそう考えていないだろうか(山崎純)
「無料は月2回までとさせていただきます」
東邦銀行(福島県)は昨年12月、コンビニATMで現金を引き出す際に無料とする回数をそれまでの月3回から2回に減らした
百
五銀行(三重県)も昨年9月以降、平日も手数料を有料化した
銀行側は「持ち出しがかさんでおり、手数料を負担してもらわないと事業が成り立たない」(百五銀の担当者)という
利用者へのコスト転嫁は地方銀行に限らない
三井住友銀行は昨年10月に手数料を無料にする優遇策を月4回から3回までに減らし、三菱東京UFJ銀行も3月に一部の利用客を対象に無料扱いを月3回から2回に減らす
提携先の金融機関が支払う手数料などに頼るセブン銀行やファミリーマート系列のイーネットにとって、各行が優遇を縮めれば実入りもその分減る
全国銀行協会などのまとめでは、銀行ATMの稼働数はこの10年で緩やかに減る一方、コンビニATMはこの15年間で1万台から約5万5千に増えた
コンビニATMに限れば、競争はむしろ激しくなっている
セブン銀の1日1台あたりの利用件数は、2月が92.8回と同月としてはこの10年で最低を更新した
1月中旬にイーネットがゆうちょ銀の手数料を夜間と休日を除いて無料にし、「ゆうちょ銀の利用客がファミマを選んだ」(関係者)
年内には三菱東京UFJ銀のサポートを得るローソンも銀行業へ参入する予定で、競争は三つどもえの様相を呈しつつある
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
長期でみればコンビニATMは事業モデルの見直しが避けられない
現金へのこだわりが強いとされる日本でもキャッシュレス化は広がり、利用者が現金を引き出す頻度はこれまでより減る公算が大きい
全国に2万4千台と最多のATM網を張り巡らせるセブン銀も利用数の減少は避けられず、ATMの配置場所見直しを進めている
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
セブン銀は昨年10月、ATMの画面に示されるQRコードをスマートフォン(スマホ)で読み取る「LINE Pay(ラインペイ)」との連携を開始
急拡大するスマホ決済をにらみ、ATMの利用の幅を広げるねらいだ
買い物でキャッシュレス化が進んでも「入金はまだ現金でという文化」(同行幹部)に商機を見いだす
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
ATMにカードを差し込まなくても、スマホで現金を引き出せるATMを開発し、「財布を持たなくてもスマホは肌身離さない」若年層などの獲得を狙う
ワッチョイ嫌いな荒らしが荒らしていますがこちらが本スレです
過去スレを見ればわかりますが編物総合スレはワッチョイ導入でスレ立てすることになっています
またワッチョイありなしでスレを立てることは許されていますが、自分の好みではないからといって、問題のないスレを荒らすのは許される行為ではありません
「あったら便利」を目指し、この20年ほどの銀行界に新風を吹き込んだコンビニATM
成長に陰りがみえても現金が消えない限り、サービス競争は続く
(渡辺淳、大島有美子)
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
"「車いすの天才科学者」ホーキング博士、76歳で死去"
[13日]
「車いすの天才科学者」として知られる英宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士が76歳で死去した
英通信社プレス・アソシエーションが家族の代理人の発表として伝えた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
ホーキング博士は、広大な宇宙のなぞや、時間の始まりと終わりの解明につながる量子重力理論を研究
その研究は宇宙創成からタイムトラベルの可能性、ブラックホールのなぞに至るまで多岐にわたる
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
このずば抜けた知性の持ち主は21歳のとき、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症
人生の大半を車いすで過ごした
体調が悪化すると、音声合成装置を使ったり、眉を動かしたりしてコミュニケーションをとっていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
病気により、さらに研究に没頭し、2度の結婚も失敗に終わったと、ホーキング博士は、2013年に出版された自伝「My Brief History」で語っている
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
同自伝では、最初にALSと診断されたときの様子を次のように振り返っている
「とても不公平に感じた なぜ自分にこのようなことが起きるのかと」
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
「当時、私は人生が終わったと思った 現在感じているような可能性を実現することはないだろうと だが50年後の今、自分の人生が満たされていることをかみしめている」
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
ホーキング博士は1988年に出版した「ホーキング、宇宙を語る」が大ベストセラーになり、世界的に有名となった
同書を執筆した理由について、博士は、宇宙に関する最近の発見について自身の感動を伝えたかったからだと語っていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
「私の当初の狙いは、空港の本屋で売られるような本を書くことだった」と当時、博士はこのように取材陣に説明
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
「この本を分かりやすくするために、私の看護師たちにこの本を読ませてみた 大半を理解していたと思う」
「この本を分かりやすくするために、私の看護師たちにこの本を読ませてみた 大半を理解していたと思う」
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
補正予算、財政の「抜け穴」に 規模ありき査定甘く:日本経済新聞
週明けの1月22日、通常国会が召集される。政府・与党が最優先で成立を目指すのは何だろうか。
2017年度の補正予算案だ。当初予算案より注目度は低いが、政権にとっては経済を支える重要な政策。あまり知られていない補正予算について調べてみた。
「補正予算と当初予算の早期成立が景気を良くする最大の対策だ」。自民党の仕事始めの5日、安倍晋三首相は政府与党連絡会議で訴えた。補正予算は当初予算並みに重い。そんな思いがこもる。
当初予算は4月から翌年3月末までの政策と必要経費を示す。税収や国債発行額などの歳入と、どの分野にいくら必要かの歳出を明示する。
政府は例年、1月召集の通常国会に当初予算案を提出し、3月末までに成立を目指す。
補正予算案は当初予算を補うものだ。年度の途中で歳入が変動したり、歳出の予算が不足したりするため毎年編成している。
大災害で予想外の復旧費が必要になったり、景気悪化に緊急で経済対策をしたりするケースが知られる。
補正予算案としてまとめ、迅速に成立させて追加の予算を確保する。ここに不要不急の経費が紛れ込むこともある。
補正予算の規定は財政法29条にある。「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出を行う場合」と書いてある。
通常国会で審議する17年度補正予算案でも、首相は編成理由の一つに災害対応を挙げた。
本当に「緊急」なのか。17年度補正予算案を見てみる。
昨年は九州北部豪雨があった。これを受け、災害復旧対策で3400億円が計上されている。これはそうだろう。
だが気になる経費もある。
例えば政権の看板政策「生産性革命」の予算。IT(情報技術)の導入支援や自動翻訳システムの開発など約3900億円を計上している。
財務省に聞くと「昨年12月上旬に生産性革命の新しい政策がまとまったため」という。政策ができた時期が遅いから夏からつくる当初予算に間に合わない、との理屈だ。
環太平洋経済連携協定(TPP)の関連では農業の体質強化策を約3500億円計上する。昨年11月、米国を除く11カ国で協定の発効に大筋合意した、というのが計上理由だ。
だが米国を含む12カ国でTPPの発効に合意した15、16年度も、共に補正予算で3000億円超を拠出した。
発効しないまま、既に対策費の合計は補正予算だけで1兆円に迫る。しかもTPPは畜産大国の米国が離脱した。
それでも米国産牛肉・豚肉の輸入急増に備えた畜産業の支援予算が17年度補正も15、16年度とほぼ同水準で盛り込まれた。緩くはないか。
「本来は当初予算でやるべき話だ」。日本総合研究所の蜂屋勝弘主任研究員は批判する。
「農業の生産性向上や体質強化は、中長期で取り組む課題」と説く。何年も継続的に腰を据えて取り組むべき政策なのだから、当初予算で扱うのがスジ、というわけだ。
なぜ補正予算案で計上するのか。農林水産省の関係者に聞くとあっさり本音を明かした。「当初予算に入れると、他の農業予算が削られる」
当初予算では、高齢化で伸び続ける社会保障以外の政策経費は、16〜18年度の3年合計で伸びを1000億円に抑えると決めている。
各省庁が新しい予算を設けたい場合は、そうした制約に縛られない補正予算に頼りがちだ。
公共事業関係費も似た構図だ。当初予算は14年度以降ずっと6兆円程度。予算増を求める族議員の声を補正予算でくみ取る構図が透ける。
「補正予算は査定がゆるい」(経済官庁幹部)ということも霞が関では常識だ。補正予算の編成作業は1カ月ほど。夏からじっくりつくり上げる当初予算に比べ、査定役の財務省のチェックは甘い。
第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「補正予算は規模ありきになっており、各施策のチェックがおろそかになりがち」と話す。
当初予算での税収見積もりからの上振れや、国債の利払い費の下振れがあると、すぐに補正予算で財政出動に使うのも恒例だ。「景気がいいのに補正予算なんて打ちたくない。
財政赤字の削減に使うべきなのに」。財務省幹部は嘆く。だがこうした声は少数派。野党も予算審議で補正予算案に斬り込むことは少ない。
■健全化の目標先送り
土居丈朗慶大教授は「財務省の最終防衛ラインは当初予算だ」と話す。
「当初予算に経費をのせると毎年度、計上せざるをえない。当初予算は絞り、補正予算は広く認める構図になっている」という。
補正予算にも一応、歯止めはある。政府は「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)」の黒字化を目標に掲げているからだ。
同指標は、社会保障費などの政策に必要な経費を、借金に依存せずその年の税収でどれだけ賄えるかを示すもの。
補正予算で歳出が増えれば黒字化が遠のくため、当初予算だけでなく補正予算の膨張も抑える役割があると期待されていた
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