2018年9月23日 19:33 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO35685780T20C18A9NN1000?s=2
【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権は24日、中国からの輸入品2千億ドル(約22兆円)分に第3弾の制裁関税を発動する。家具や家電など計5745品目に10%の関税を上乗せし、消費者への悪影響が本格的に広がる。中国は即座に報復関税をかける構えだ。トランプ大統領は中国が報復すればすべての輸入品に関税をかけると脅しており、二大国の貿易戦争の終わりが見えない。
米政権は7〜8月、2回に分けて計500億ドル分に25%の制裁関税を課した。中国は大豆や自動車などに同規模の関税を課して対抗した。第3弾はトランプ政権が初めて相手国の報復関税にやり返すことになり、一段と危険な局面に入る。
米国は東部時間24日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)以降に通関した中国製品から10%の関税を上乗せして徴収する。19年1月1日以降は関税率を25%に引き上げる予定だ。
関税を課すのは掃除機などの家電やかばん、スポーツ用品のほか、野菜や果物、魚介類といった食料品など生活に身近な製品が多い。米ピーターソン国際経済研究所によると、消費財の比率は24%で、年末商戦を前に消費者の懐を直撃する。第1〜2弾の500億ドル分は化学品や産業機械など中間財や資本財が中心で消費財は1%だった。
第3弾発動により関税の対象は計2500億ドルに一気に膨らみ、中国からの年間輸入総額(約5千億ドル)の半分に達する。中国は米国産の液化天然ガス(LNG)など600億ドル分に5〜10%の報復関税を課す。米国からの輸入総額の7割が追加関税の対象となる。
トランプ氏は中国が報復に出れば「ただちに」残りの輸入品にも追加関税を課すと警告する。両国ともメンツを優先し報復が報復を呼ぶ悪循環に陥っており、チキンレースが激しくなっている。
米政権は3月、中国の知的財産侵害に制裁関税を課すと表明し、米国企業に対する技術移転の強要や、ハイテク産業への巨額補助金をやめるよう求めてきた。両政府の一部には6月以来となる閣僚級協議を9月中に開くよう模索する動きもあったが、米政権の関税発動により中止となった。トランプ氏は最終的には習近平(シー・ジンピン)国家主席との首脳会談で問題を解決すると意気込んでいる。